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窓の外、昨日の大雨から

すっかり青空が見えるまでに

晴れた空は、

眩しいくらいに明るい。


「棗〜!」


昼休み中のぽかぽかと暖かい気温に

ついうとうとと睡魔に襲われかけて

いたところ、

名前を呼ぶ声の方へと視線を向けた。


「棗、あんたの事呼んでるけど。」

「え、?」


教室の入り口付近から

私の名前を呼ぶ咲は、

不思議そうな表情でこちらを見つめる。

その隣にはにんまりと笑顔の

彼。


やあ〜なんて暢気に

手を振っている。

やけにご機嫌。

いや、それはいつもの事か。


クラスの女の子達が

きゃあきゃあと騒ぎ出す。

昨日の事があった手前、

どんな顔をしたら良いのかわからず

ぎこちなさ全開の表情を

している自信がある。


もちろん笑顔で手を振り返す

つもりも無い。


「えっ、待って待って!」


席を立ち、急ぎ足で教室を出ると

慌てて追いかけて来るものだから

恐怖すら感じる。


デジャヴ。

前にもこんな事あったな。


廊下を歩いていれば

隣に並んでこちらへと顔を傾げる。


「今日は図書部ある?」

「無い」

「じゃあ明日はあるって事か」

「」


黙り込む私の顔を

わざとらしく覗き込む瞳。

目が合うと嬉しそうに弧を描く口。

うざい。

無意識なのかわざとなのか

目の前の人物が

自分を拒めるはずがないと

自信に溢れた顔で

見つめてくるこの人がうざい。


「どこまでついて来る気?」

「どこまでも」

「そう、じゃあお手洗いも

一緒に来てくれるわけ?」


仕返しにと返した冗談混じりな台詞。

これくらい言えばそろそろ

付き纏うのもやめてくれるだろう。

と、

突然無言になった彼。


なに、と視線を向ければ

にんまりと愉快そうに笑っていた。


あまり効いていない反撃に

小さく舌打ち。

予想はしていたけれど。


「僕が着いて行って良いなら行くけど」


嫌がるくせにそういう事

言うんじゃない、とビタンと

額へ地味な攻撃が繰り出された。


「っ、た!」


手加減してくれたのだろうか、

痛くはないが、驚いたために

つい痛いなんて口にしてしまう。


「うわ、そういや次の授業移動だった」


それじゃあね、と去って行く。

結局何の用だったんだよ。

黙ってその後ろ姿を見つめていれば


「棗!!!!!!」


次いで物凄い勢いで突進してくる咲。

まあこうなる事は

大体予想していたけれども。


「あんた!棗…、!王子…!」


驚きすぎて失われた咲の語彙力。

どうどう、落ち着いて。

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作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:Ritz | 作成日時:2013年11月6日 22時

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