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家に帰り、風呂も終えてリビングに出れば、何故か五条が居た。
「どうしたんだ?五条」
「様子見に来たんだよ。身体はどう?」
「頗る調子が良い。家入の反転術式の賜物だ。しかし五条、任務に向かう為に家入の処へ態々向かったのに、五条が任務に行ってしまっては意味が無いだろう」
「寝てれば治るって言いたいの?」
「あぁ。私の事を待っている人がいる。無論、私じゃなくてもいいんだろうけどな」
私が命を懸けることで、命はどれほど救われるだろうか。要はそれが私にとっての信条を、自身と結びつけるのだ。
しかし、これが守れなかったからと言って駄々を捏ね、枕を濡らし、家に引こもるほど私は子供では無い。
救えなければそこまでだ。次の人間を救えばいい。例えそれが悪人で、結果的に別の死人を出したとて、そこに私の意思はない。
「そのひねくれた正義感どうにかなんない?」
「正義感では無い。一つ一つの役目を果たし続けるのが人生なのだから、当たり前を口にしただけだ」
「考えた事も無い意見をどうも。でもね、僕達は呪術師だ。どう足掻いても、何かを恨まずにはいられない」
「五条は恨んでいる相手がいるのか?」
「たーっくさんいるよ、そりゃ。君の事も恨んでいるし」
どうやら知らぬ間に、五条に恨まれるような行動をとってしまっていたらしい。素直に謝れば、ため息をつかれた。
「後、他の奴に不法侵入されないように注意しておいた方がいいと思うんだよね、僕」
「鍵は閉めたはずなんだが…」
「まじ?じゃあ今の忘れてよ」
「何かよく分からないが分かった」
適当な返事をしながらココアを注ぐ。家に置いてあるココアの袋は、五条専用だ。
「出来たぞ」
「さっすが!分かってるねぇ」
慣れたように褒めて、ちびちびと飲み始める五条。私は、緑茶を飲んで心を落ち着かせた。
「あ、A、そう言えばなんだけど」
「ん?」
「しばらく有給ね」
はて、有給とは本人が申告するものではなかっただろうか。
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作成日時:2021年3月9日 0時