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「永広ォ?誰よ、それ」
「呪術師。呪術界隈では結構有名な人だ」
7月の中旬頃。伏黒と釘崎が高専の廊下を歩きながら雑談していた。話題は、永広と呼ばれる人物について。
「一応聞くけど、変人大賞で優勝とかじゃないわよね」
「お前は馬鹿か。永広さんはそんなんじゃねぇよ。普通に1級術師だ」
1級、それならまぁ、まともだといいが。釘崎は術師にまともが居ないことを半分悟っていたが、残りの半分で永広が常識人である事を願う。
ふと、前方の曲がり角で聞き慣れた声が誰かと会話していた。
右に曲がって見た光景に、思わず立ち尽くす。
「は、離してくれ五条、ちょっと痛い」
「術式使えよばーかばーか!折れるまで離さねぇよ!」
「腰の骨が折れたら如何せん私は最低でも2日寝ることになってしまう」
「そう言う意味じゃないけど勘違いも可愛い!寝ちまえ!永眠してろ!」
「かなりのブラックジョークじゃないか…!?」
頑張って歩こうとする見知らぬ女。その腰に両腕でしがみつく五条。
釘崎が、「醜い大人は見たくないわね」と吐き捨てた。
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5分後。廊下でばったり会った4人は、ひとまず近くの部屋に入り、ソファに座った。
話を切り出したのは、釘崎にとって初対面の女。
「済まなかったな。恥ずかしい所を見せてしまった」
「いや、永広さんは別に恥ずかしくないです。どちらかと言うと五条先生の方が恥ずかしい」
「やだなぁ恵。僕の愛のムチをAが受け止めてくれなかっただけで」
もう嫌だ、この大人。伏黒が諦めかけているところに、釘崎がようやく聞く。
「聞き流そうとしてたけど、誰よこの人」
「あはは、そりゃ勿論近い将来僕と結婚する永広Aちゃ」
「いや、私と五条は別に婚約していないし交際もしていない。生徒を揶揄うのは良した方がいいぞ、五条」
「あはは、うるせぇ〜」
「……?」
頭のネジが恐らく何本か飛んでいる五条を窘めるには至難の業、と言うより無理ゲーである。
伏黒はため息をつき、本題に入れと促した。
「いやぁ、この子ね、超変人でさ。任務大好き人間で仕事人な訳ね」
「別に好きな訳ではないが…」
「だから、労災になる前に休ませようって魂胆があって」
「別に疲れてもないぞ?」
「って事で、臨時教師で入れましたぁって話」
「労災なのに仕事はあるのか」
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作成日時:2021年3月9日 0時