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「着いた」

「やっとかよ…」


山を登った先にあったのは、一面が緑色の村。家がポツン、ポツンとあり、何人かが田んぼや畑を弄っている。


「それで、貴方は何処の家に行きたいの?」

「あー、あれ。蓮川櫻子ってここにいる?」

「…蓮川櫻子なら、私の祖母」

「マジ?」


まさか、今回の任務のうち1つ目と山中を歩いていたとは驚きだ。しかし、まぁ、焦ることもないだろう。今誘わなくてもいい、というより、面倒くさい事は後回し。


「よし、蓮川櫻子の所まで案内しろ」

「やだ」


即答に目を見張る。イノシシと言いコイツと言い、なんて度胸だ。


「あのさ、俺任務で来てるワケ、遊びじゃねぇの。お子様には分かんないかもしんないけどさ」

「私は16」

「嘘だろ俺と同じじゃん」


同い年で五条がビックリしている中、永広は構わず突き進んでいく。


「ちょ、待てって。お前今やだって言わなかった」

「言った。でも、任務なら私のワガママは通らない。好きに着いてくるといい」

「偉っそーに…」


田んぼと田んぼの間の道を、永広先頭に通る。


「あらAちゃん、今日は早いのね」

「田村さん。イノシシが出た、今晩は気をつけて」


「おーい、Aちゃん!」

「岡田さん。後でお手伝いする」

「助かるねぇ」


「AちゃんAちゃん。ワシのメガネ知らんかね」

「胸ポケットに入ってる」

「おぉ、本当だ」


小さい村だからか、ここの村人の名前はどうやら覚えているらしい永広。一方五条は同じ顔にしか見えないらしく、欠伸をして目の前を通った。

しかし、それでも190センチは目が引くのか、村の老人達は五条に尋ねる。


「アンタぁ、こんな村になんの用かね」

「イントネーションやべぇなじいちゃん」

「えぇ?なんだってぇ?」

「今日もイケてんねじいちゃん」

「アンタとは初めて会ったじゃろうて。ほっほっほ、若い子でもボケるんじゃのう」


「うわ、クソジジイ」と、五条は呟いた。

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作成日時:2021年3月9日 0時

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