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流石に怒ったのか、永広はムッとした顔で五条を睨む。


「…じゃあ首吊るなよ」

「……多分、もうあんまりしない」

「絶対、約束しろ」

「それは約束出来ない。だって、術式を操る為には必要な経験だから。婆さまの遺書に、術式を完全に己のものにしなさいと書かれていた」


死んだ人間を会話の中に出されて、五条は永広の頭をバスケットボールのように掴んで持ち上げる。


「今でもクソババアに縛られてどうすんだよ」

「クソババアなんかじゃない。婆さまは偉大なお人」

「オマエがされた事を忘れたのか。村が丸ごと心中したのは、9割9分老いぼれの発案に決まってんのに」


嘲笑うように永広を見据える五条。


「だとしても、婆さまの考えに間違いなどない」

「正解不正解を求めてるんじゃなくて」

「やだ、それ以上言わないで。婆さまが正しくなきゃ、私は何の為にここにいるの……」


湿った話題に、立ち尽くす夏油と家入。入り込める雰囲気では到底ないこの空間を、変えたのは五条だった。


「むぐっ」と永広の声が聞こえて、目にしたのは、距離が0cmの2人の姿。


五条が永広の頭を両手でガッチリと掴んで、唇に噛み付いていたのだ。

接吻と言うにはあまりにも荒々しく獣に似た行動に、永広は抵抗する間もなく棒立ち。

1回では終わらず、2回目は角度を変えてガブリとまた噛み付いた。キスどころではない、本当に噛み付いている。

とうとう3回目に移ろうとした時、ベチンと音が響いた。

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作成日時:2021年3月9日 0時

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