Another trip over the wall3[東京リベンジャーズ]

Cannot believe ページ12

全速力で、街を駆け抜ける。


自分がどこにいるかは、全く分からない。
とにかく、私はここが何処か、を確定させなきゃいけなかった。


かれこれ10分間、全力で走り続けている。
さすがに体に疲れが溜まってきた。


息を切らして、足を止める。


周りを見渡すと、そこは渋谷の景色。


通りはカップルや家族づれで賑わっていた。


沢山のサンタのコスプレをした人々が、今が稼ぎ時とばかりに声を張り上げている。


やっぱり、今日はクリスマスだ。
まる1年寝ていただけ、そう思い込みたかった。
でもその望みはさっきのおばあちゃんによって断ち切られている。


2005年で、寝て覚めたら次の日。


信じたくない。



道行く人々が病院着で雑踏に佇む私を不審な目で見るが、誰も声をかけてこない。ただ通り過ぎていく。


時折こちらをみて指さす人や、ヒソヒソ話す声が聞こえてくるけれどそれも最早気にならない。


どうして。


私は再び、走り出す。


帰らなきゃ。


家につくと、玄関には鍵が掛かっていたので裏に周り、空いていた窓から入り込む。
誰かに見られたらまずいがそんなこと気にしている余裕などないし、第一ここは私の家のはずだ。



部屋に入り、ベッドの上にあるはずのものを探す。


ない。


布団を取り払った。
マットレスをめくった。
ベッドの下を覗き込んだ。


何処にもない。


私があるべき場所に帰るための物が、何処にもない。


もしかしたら病院かも。
必死に記憶を辿るが、そんなのがあった記憶はどこにも無かった。


家のチャイムが鳴る。
侵入現場を見られたか？そう思って玄関のドアスコープから外を覗いてみる。



私の世界に居るはずのない2人組が、玄関の前にいる。


「…A…」


私の名前を呼ぶ声。


「オイ、マイキー。何時までいる気だよ。今日は居ねぇんだからまた明日にしようぜ。」


「また明日…？ケンチン、お前には分からねぇだろ！！！八戒の事だって、あいつのことだって。何なんだよ、お前は！！良いだろうな、オマエにはエマが居んだから。」



嘘だ、これは悪い夢だ。



慌てて裏口から家を出て、再び走り出した。

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