最優先人生目標 ページ45
承太郎めちゃくちゃ酔ってる。距離近い。酒臭い。息かかる。スミノフか……何本空き瓶に、ひぃふぅみーよーいつ……うわぁ。まさかこれ怒りに任せて煽った？ イッキ？ そして俺は数えるのを止めた。あっ、でもうつらうつらしてる。
「……肩借りる。」
「おー。」
肩ぐらいなら良いか。俺が膝枕し返すのは、股間的にヤバい。バレる可能性がある……あっ、月山さんが発狂した。
「お前も呑むか？」
「ん〜、今日はいいわ。」
「俺の酒が呑めねーのか。」
「意外！ それは絡み酒ッ！」
吐きそう……ではない。いや強過ぎだろ。呑みやすいし5パーだから、ビールみたいなモンなのかもしれねーけど。
「吐けよ、弱音。」
「あ〜〜そゆこと？ 酒に酔ってネガティブになれと。本当の事教えるとな、あれ我慢のタガが外れてる訳じゃあねーぜ。『酒を呑んだ時だけ弱音を吐いていい』っつー自分ルール……つまり縛りだ。意識的なガス抜きだと思ってくれ。」
「お前は他人を気にし過ぎだ。」
……会話になってない。
「しかもそれを、俺達にまで伝染させる。だから俺達は、本来悩まなくていい事にまで、悩んでいる。悩まなかった筈の事に頭を痛める。」
「そりゃあ……悪かったな。」
「お前が伝播させたのは……優しさ、だ……。」
動画再生を停止した。
「それも生半可なモンじゃあねぇ。生きていく中で損をする程の、優しさ……。他人の損得や命は秤にかけるが、そこに自分を加えないお前が、感染ってるんだ。」
「そんな事、」
「ある。さっきだって、自分の信用より俺を気にした。悪い癖だ……それがお前の持ち味だと言われたら、そこまでだが。だから敵じゃあねぇんだよ。悪人が、そんな生き辛そうな癖を持ってるとは思わねぇんだ……。」
何て返せば、良いんだよ。
「お前が何故この旅について来たのか……いつも俺達は分からなくなって……困惑する。お前の存在は俺達に、迷いを生んで…………いや、そうか。だから、か……。動機は……何…………も、」
「え、ちょ待てよ寝落ちるな寝落ちるな、せめて言い切って。」
「……つまり、な。格好悪く、してんだ。お前は。
全部……迷いも、優しさも、全部……。俺達に与える事で、俺達を格好悪くしてるんじゃあないか……？」
は？
「や、そんな事して何の得が、」
「お前……一人だけ……格好良くなろうと……だから…………。」
その発想は無かった。
「つまり俺がカッケェのを目指すと、反比例でお前らが格好悪くなる、のか？ ……ってもうおねむか……。」
でもなぁ。敵味方は最悪譲っても。
格好良くだけは、どうしてもなりてぇんだよなぁ。
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靜藍(プロフ) - 初めまして。この作品のシリーズを読んでみて、とても素晴らしく考えられたお話で感極まり、コメントさせていただきました！ストーリーは勿論、主人公の謎、登場人物の考えとかとても面白く好きです！より理解するため、また一から読み直したいと思います！！ (2020年11月24日 21時) (
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作者名：heavy loss | 作成日時：2018年1月21日 17時
