ベーコンを喰らう為に ページ11
あ、殴られた。何をやってるんだ奴等は。特にホル・ホース。口説いた？ 口説いたのか今。で、ポルナレフに殴られた。凄いな。しかし、信じきってくれているなら有難い。そして俺の居場所は気付かれてはいない。否、断言してやろう！ 気付かれる事など有り得ないと！ つまり俺の勝ちは確定した！
「ぬぁーに口説いてくれてんだ！ 今は！ 俺と！ シェリーが！ 感動的に！ 再会する場なんだよ！」
「知るか！ あんな美人さんが目の前に居るのに口説かないなんざ男の名が廃る！」
「シェリーは誰にもやらねーよ！」
「あ……あの、えっと？ お兄ちゃん、その人は？」
……にしても確かに、偉い美人が投影されたモンだな。こういう事は今までも多々あった。ほら、言うじゃねぇか。記憶は美化される、ってな。
俺が標的にしてきた連中には確かに、今回のよーに死者復活を望んだ奴が何度も居た。そして投影させてきた。そんな中で一度だけ、復活したと信じなかった奴が居る。ソイツはもうとっくにあの世送りにしてやったがカメオが投影した、女に向かってこう言って写真を投げ付けたんだ。
『彼女はそんな風に笑わない。彼女は僕に笑いかけたりなんてしない。だから僕が殺したんだーー。』
その仕事は、殺された娘の仇を打って欲しいという物だった。執拗で、しかし此方からは影も形も掴めなかったストーカーの尻尾を捕まえて、出来る限り残虐に殺って欲しいという依頼。何処までも一方的で、報われる事無く終わったせいで。その想いは男の中で、際限の無い妄想として加速を続けてたのだ。だからこそ、想いを投影された男は気付いた。本当に彼女が復活したのであれば、俺は殺して貰えるのだろう、と。しかし俺に好意的な点が少しでもあれば、それはきっと偽物なのだろう、と。
男は望み通り、愛した女に殺された。しかし偶像に過ぎない女を見て、やはり二度と逢えないのだと絶望しながら死んで行った。依頼としては滞り無く達成されたと言って申し分無い出来。奮発して買ったベーコンの旨さをまだ覚えている。
今でも思う。男がスタンド使いでなくて良かったと。俺のジャッジメントは破壊力持続力スピードは中々だが、どうにも射程距離があまり無い。隠れるにも良い方法をまだ見付けられていなかった頃で、そうやって昔を振り返れば背筋がゾッとする。今は良い。隠れて直ぐは冷たいが慣れてくれば暖かい、気がする。どう頑張っても体温は奪われていくから、眠ったら死ぬ。
だが、それでも。俺は飯代を稼がねばなければ結局死ぬ。
そろそろ暴れ出せ、土人形。
目の前の人肉を、喰らえ。
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靜藍(プロフ) - 初めまして。この作品のシリーズを読んでみて、とても素晴らしく考えられたお話で感極まり、コメントさせていただきました！ストーリーは勿論、主人公の謎、登場人物の考えとかとても面白く好きです！より理解するため、また一から読み直したいと思います！！ (2020年11月24日 21時) (
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作者名：heavy loss | 作成日時：2018年1月21日 17時
