戦闘と浅葱色 ページ6
「っ、！！」
少女が、息を飲んだ。そう、三人の男達はゆっくりと紅い目をこちらに向けたからである。正直、私も怖い。神との戦いには慣れてはいてもこういった人の殺し合いには慣れていないからだ。けど、この子のためにも戦える私が何とかするしかない。
「ひ、ハハ…！チ、血だ…ァ。血、血ィ…！」
「く、化け物が！」
いや、化け物なのは私も一緒か。ゆらゆらと恐怖心を煽る様に男達はゆっくりと近づいてくる。確かに人間だ、けどその中から確かに異形の気配を感じる。神とはまた別の、異形の何かの気配を。異形の気配が混じっていると言え人間、殺したくはない。こうなったら、と考えていたら、男達は一斉に飛びかかってきた。
「ひゃハハ！！血だ、血を寄越せェ！」
「っ！�狎纏澂瓠�！」
咄嗟に一番使い慣れた言霊の力で奴らの動きを止めた。空中で言葉通り静止する男達をびっくりしたように隣にいる少女は眺めていた。
「っく、止められない訳じゃないけど、こいつら力が強い！！�狎纏澂瓠↓猴邁辞瓠�！」
静止の力を更に強固なものにするため、もう一度かけ、少しでもダメージを与えるために宙に浮かぶ紅目の男達を地面へと叩きつけた。
「今のうちだよ！！」
「えっ！？あ、はい！！」
かなりの力で叩きつけたから暫くは起き上がれないはずだ。砂埃でよく見えないが、逃げる時間くらいは稼げるたはず。少女の手を取り走り出した、途端背後から気配を感じ振り向けば物凄いスピードで紅い目の男達が襲いかかってきていた。
「っ、やぁあ！！」
やむを得ない、身体中に風を纏わせて鋭い風の刃で切り刻む。そのまま、こと切れて地面に倒れた男達を震える体を押さえ眺めた。すると再び背後から気配を感じて、私と少女は後ろを振り返る。
「あ〜あ、僕が始末しちゃおうと思ったのに。仕事が早いんだから。」
「総司、そのような事を言っている場合では無いだろう。」
「はいはい、一君ってばお堅いんだから。」
先ほどの男達と同じ浅葱色の服を着た男が二人現れたのだ。どうやら正気のようである。
「ねえ、そこの君。この女の子に助けてもらったんでしょ？お礼、言わないの？」
「え、あ！あのっ！さっきはありがとうございます！助けて頂いて、本当に助かりました！」
「えっと、…どういたしまして。なんだけど、」
「ぷ、あはははは！まさか本当に言うなんてね」
「わ、私も場違いかなとは思いましたよ！？」
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作者名：しろくま | 作者ホームページ：
作成日時：2017年11月9日 7時
