chapter*1-4...大嫌いだから、生きていて。 ページ4
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最近、夢見が悪かった。
毎日と言ってもいいほど頻繁に同じ夢を見る。毎晩毎晩、決まってアイツが死ぬ夢を。途中で目が覚めてまた眠りについても同じ夢の繰り返しで、ここ最近は寝不足が続いていた。
死ぬ時のシチュエーションは毎回同じ。山奥の任務についたアイツは、格下だと知らされていたんだろう。たまに一緒になる任務の時と同じような顔をして、呪霊と向き合ったアイツは、しかし今までに見た事がない絶望した顔をしていた。
それを俺は、ただただ見ていた。体が縛り付けられているように動かないまま、ただ、ただ、アイツがぐちゃぐちゃになるのを、目の前で、必死に手を伸ばしてるのを、見ていただけだった。
いいから逃げろと叫んだこともある。お前が帰ってきたら、代わりに俺が行ってやると、そう、叫んだこともあった。それでも声が届いていなかったのか、アイツは死んでいく。
目が覚めてからただの夢だと言い聞かせても、それがあまりにもリアルで。力を振り絞って伸ばした手がピクリとも動かなくなるのを、もう何十回と見てきた。
そう、やけにリアルで。毎朝飛び起きて。教室でお前のことを待つ。この時間がどれだけ不安で仕方ないか知らないだろ。呑気に笑いながら「おはよー」と挨拶するお前に、どれだけ安心してるか、知らないだろ。知らなくていい、とも思う。
予知夢も正夢もそんなもの信じてはいないが、こうも何十回と同じ夢を見続ければ、お前は死ぬ運命なんだと言われているような気がして。
そして聞かされた、今日のアイツの任務が、夢と同じ山奥だと知って冷や汗が流れた。時間帯は昼らしい。それは、夢の中と同じだった。
嫌な、予感がした。杞憂であればいい。それに越したことはないのだから。ただ、それでも。でも、やっぱり、頭の中ではぐるぐると同じ言葉が巡っていた。
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希乃夏(プロフ) - pixivでも見させて頂いていたものです!!占いツクールでも公開してくださりありがとうございます!!更新頑張って下さい!! (2021年3月22日 12時) (レス) id: 1e5270c5a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仁篠。 | 作成日時:2021年3月22日 11時