純白の月 (ページ10)

今日:22 hit、昨日:74 hit、合計:26,877 hit

10. ページ10

.

「ドラコの分は、これかなというものを見つけておいたわ。でも、ルナの分は……ごめんなさいね」

『大丈夫です。これから選んでいただければ良いことですから』

「では、まずはドラコ……こっちの息子から、頼む」

「承知いたしました」

ドラコがオリバンダーの前まで進んだ。机の上には数本の杖が置いてある。きっと、ナルシッサが目当てをつけたものだろう。

ドラコの杖選びが始まって、すぐだった。ドラコの杖は、ユニコーンの毛、サンザシ、25センチに決まった。

「さて、次はそちらのお嬢さん」

ルナがオリバンダーの前に進んだ。薄暗い店内で、ルナの乳白色の髪と琥珀色の瞳は、よく映えていた。

「おや……そうか、あなたが……ルナ・ムーンライトさんですな？」

『はい、ムーンライト家次期当主、ルナ・ムーンライトです。本日はよろしくお願いいたします』

「おぉ、若いのに立派じゃ！さすがはあのお二人の娘ですな」

ルナははっとした表情になった。

『父と母を……ルークと、シャインを、知っているのですか？』

「知っているも何も、ムーンライトさんとサニーさんはここで杖を買っていったのじゃからな。お二人とも少し珍しい杖じゃった……今となってはやはりというものだが」

オリバンダーの最後の言葉に、ルナは首を傾げた。

「さて、では早速……ムーンライトさん。拝見しましょうか」

オリバンダーがドラコの時にも使った巻尺を手に取った。

「どちらが杖腕ですかな？」

『右です』

「なるほど。では、腕を伸ばして、そうそう」

オリバンダーはルナの寸法を測っていきながら話を続けた。

「ムーンライトさん。オリバンダーの杖は一本一本、強力な魔力を持った物を芯に使っております。一角獣のたてがみ、不死鳥の羽根、ドラゴンの心臓の琴線。一角獣も、ドラゴンも、不死鳥も皆それぞれに違うのじゃから、オリバンダーの杖には一つとして同じ杖はない。もちろん、他の魔法使いの杖を使っても、決して自分の杖ほどの力は出せないわけじゃ」

オリバンダーは棚の間を飛び回って、箱を取り出していた。

「では、ムーンライトさん。これをお試しください。サンザシにドラゴンの琴線、23センチ。しなやか。手に取って、振ってごらんなさい」

ルナは心の中で、ドラコと同じ木材だ、と思った。

.