純白の月 (ページ9)

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男の子が出ていってからしばらくすると、ドラコの採寸も終わり、二人ともローブを脱いで元の服装へと戻った。代金を払ってから店を出ると、ルシウスが待っていた。

「父上、箒を――」

「ドラコ、やはり先に杖の店に行くことにしたよ。箒はその後だ」

三人で、ナルシッサがいる杖の店まで歩き出した。

「ドラコ、ルナ。これが二人の教科書だよ。私が買っておいた」

『ありがとうございます』

ルナはルシウスから教科書の山を受け取り、ショルダーに仕舞い込んだ。一見すると教科書なんて入るはずがないこのショルダーには、特別な魔法がかけてあり、いくら詰め込むことも可能、そして重くならないのだ。

ルナは財布からグリンゴッツに入っていたガリオン金貨を取り出し、教科書の代金分を数えて、ルシウスに手渡した。

「気を遣わなくてもいいのだぞ？」

『いいえ！いつも面倒を見ていただいているので…！教科書からなにまでマルフォイ家に頼ってはいけないと思い！』

「なるほどな」

すると、ドラコが思い出したかのように話し出した。

「父上。先ほど、マダム・マルキンの店で男の子に出会ったんです。今年からホグワーツらしくて…話していたのですが、どうも魔法界のことをあまり理解していないようで、まるで――」

『…マグルみたいだった、そう言いたいの？』

「……」
　

ドラコが押し黙った。

『あの男の子の両親は魔法使いと魔女だって、そう言っていたじゃない？それに……』

「……ホグワーツに行けば、そのような者は嫌というほどいる。腹立たしいことだが……今はまだ仕方がないのだ。ドラコ、よいか。絶対に穢れた血とは関わってはならぬ」

「もちろんです、父上」

『……本当、こういうところは考えが合いませんね』

「ああ……昔から、な」

ルナとマルフォイ親子が険悪なムードになった時、ちょうど杖の店――『オリバンダーの店――紀元前三八二年創業高級杖メーカー』の前に着いた。一行が中に入ると、どこか奥の方でチリンチリンとベルが鳴り、その音でナルシッサが振り返った。

「ルシウス、ドラコ、それにルナ。待っていたのよ」

「ああ、ナルシッサ。すまないね」

「いらっしゃいませ」

ナルシッサと向かい合っていた老人が喋った。この老人がオリバンダーなのだろう。

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