純白の月 (ページ8)

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『美味しそうなアイスクリームね』

「そうじゃないだろう…」

「あれ、ハグリッドだよ」

男の子は嬉しそうにした。それほどまでに、あのハグリッドという大男のことが好きなのだろう。

『ハグリッドさんって、確かホグワーツで働いているのよね？』

「ああ、聞いたことがある。一種の召使いだろ？」

「森の番人だよ」

男の子は嫌そうに言った。

「そう、それだ。言うなれば野蛮人だって聞いたよ……学校の領地内のほったて小屋に住んでいて、しょっちゅう酔っ払て、魔法をつかおうして、自分のベットに火をつけるんだそうだ」

「彼って最高だと思うよ」

「へぇ？どうして君と一緒なの？君の両親はどうしたの？」

「死んだよ」

その言葉を聞いて、ルナははっとした。

『……奇遇ね。私の両親もよ』

ドラコの口調に苛立ち、少し冷たい言い方になってしまったが、男の子はルナをじっと見つめて、緊張が一気に抜けたような長い息をふぅっと吐いた。

「おや、ごめんなさい」

ドラコは謝っているような口振りではなかった。

「でも、君の両親も僕らと同族なんだろう？」

「魔法使いと魔女だよ。そういう意味で聞いてるんなら」

「他の連中は入学させるべきじゃないと思うよ。そう思わないか？連中は僕らと同じじゃないんだ。僕らのやり方がわかるような育ち方をしていないんだ。手紙をもらうまではホグワーツのことだって聞いたことなかった、なんてやつもいるんだ。考えられないようなことだよ。入学は昔からの魔法使い名門貴族に限るべきだと思うよ。例えば、僕と彼女のように――」

『ちょっと！』

ドラコの言葉をルナが遮った――二人が睨み合う。しかし、その時、マダム・マルキンが「さあ、終わりましたよ、坊っちゃん」と言い、男の子は踏み台からポンと飛び降りた。ドラコとルナは睨み合いをやめ、男の子の方を向いた。

「じゃ、またホグワーツで会おう。たぶんね」

『たぶん、じゃないわ。絶対よ。またね！』

ルナが微笑むと、男の子は、フードでルナの表情が見えないはずなのに、頬を赤くして、ルナに向かって「うん」と言ってから店を出ていった。

男の子は思った。ホグワーツであの子を見つけたら、つかまえて今度こそもっと話したい、と。

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