純白の月 (ページ7)

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『そうなのね！私たちも今年からなの。同級生がいて嬉しいわ』

　

男の子の表情が微かに安堵に変わったような気がした。

「僕の父は教科書を買ってるし、母はどこかその先で杖を見てる」

　

『私の分まででしょう？感謝ね』

　
「当たり前のことさ」

　

男の子は、ルナの言葉を聞いて、ドラコとルナが家族ではないことをなんとなく察した。

　
「これから、二人を引っぱって競技用の箒を見に行くんだ。一年生が自分の箒を持っちゃいけないなんて、理由がわからないね。父を脅して一本買わせて、こっそり持ち込んでやる」

『またそんなこと言って』

　
ルナはまた笑った。

そんな様子を見て男の子は思った。可愛い声だな――それに素敵な考え方だ、と。

「君は自分の箒を持っているのかい？」

　

ドラコが男の子に聞いた。

「ううん」

　
『私も持ってないわ。入学前に自分の箒を持って乗りこなしているなんて、あなたぐらいじゃないの？』

　

「…それもそうだな、じゃあ、クィディッチはやるの？」

　
「ううん」

　
男の子が不思議そうな顔をしたので、ルナは、クィディッチを知らないのかな、と思った。

「僕はやるよ――父は僕が寮の代表選手に選ばれなかったらそれこそ犯罪だって言うんだ。僕もそう思うね。君はどこの寮に入るかもう知ってるの？」

　

「ううん」

　
『…どこの寮に入るかなんて、行ってみないとわからないでしょう？ホグワーツに！』

　
「まぁ、つまりはそうなるわけなんだが…僕はスリザリンに決まってるよ。僕の家族はみんなそうだったんだから……ハッフルパフなんかに入れられてみろよ。僕なら退学するな。そうだろう？」

　
「ウーン」

　
『あら、私の父様と母様はグリフィンドールだったけれど、私はどこの寮でも楽しみよ？全ての寮がそれぞれ素晴らしいじゃない』

　

「…！」

　
男の子は顔を輝かせ、ドラコは逆に顔を歪めた。

「…ほら、あの男を見てごらん！」
　

ルナの考えをズバリと言われ、悔しかったのだろうか。急にドラコは窓のほうを顎でしゃくった。窓の外には大きな男が立っていた。ボウボウと長い髪で、ひげの中から黄金虫のような目が見えていた。そして、男の子のほうを見てニッコリしながら手に持った二本の大きなアイスクリームを指していた。

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