純白の月 (ページ6)

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「では、お嬢さんはこちらの方へ来てくださいね」

『はい！』

ルナは採寸のための踏み台の上に立った。身長がどちらかというと低めであるルナだが、少し大きめのサイズでローブをつくることにした。

ルナが採寸を終えると、今度はドラコだ。ルナはドラコの立つ踏み台の隣に立ち、ローブの試着を始めた。

ルナの白い肌は、黒いローブにすっぽりとつつまれている。

「どうです？制服にはフードもついております。ぜひかぶってみてください――」

カランコロン

ルナがフードをかぶった瞬間、店のドアが開き、来客を告げるベルの音が鳴った。マダム・マルキンは「ちょっとお待ちくださいね」と言ってドアのほうへ向かった。

残されたルナは、ドラコのほうを向いた。ドラコはまだ採寸をされている途中だった。

　
『ねぇ、ドラコ。今入ってきたのって…もしかして新入生だったりするのかしら。そうだとしたら、仲良くなりたいわ――』

　

「そうだな。ルナのために、後で僕が聞いてみよう」

　
『わぁ、ドラコありがとう！』

　
店に入ってきた人と、マダム・マルキンが話す声が聞こえてきた。

「坊ちゃん。ホグワーツなの？全部ここで揃いますよ……今お若い方がお二人合わせているところよ」

マダム・マルキンがやってきた。さっき入ってきたのであろう男の子を連れている。

その男の子は、煌めくように鮮やかな緑の瞳に、やわらかそうで癖のある印象的な黒い髪で、丸い眼鏡をかけていた。

ルナは、なぜか一瞬、胸がどきりとした。

緑の瞳をいつまでも見つめていそうになる――すいこまれるほどに。はっと我に帰り、ルナは瞬きをひとつした。

マダム・マルキンは男の子を、たった今踏み台の上に立っているドラコの隣の踏み台に立たせた。ルナの反対側だから、男の子の位置からはちょうどルナが見えなく、気づいていないようだった。

「やあ、君もホグワーツかい？」

　
ドラコが男の子に声をかけた。さっきルナが頼んだからだろう。

「うん」

　
男の子の答えを聞いて、ルナはドラコの影から姿を現した。男の子は、突然なルナの登場に驚いたようで、眼鏡の奥の瞳を大きく見開いた。

だが、ルナの小さな顔は深い黒色のフードに、これまたすっぽりと隠れ、見えない。さらにルナの乳白色の髪までもが、ローブによって隠されているのだ。

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