純白の月 (ページ45)

今日:15 hit、昨日:36 hit、合計:26,796 hit

45. ページ45

.

その夜、ルナはネグリジェの上から白いカーディガンを羽織って、杖を手に、部屋を出ようとした。ふとベッドを見渡すと、ハーマイオニーが寝息を立てているはずの場所に人影がない。

『…ハーマイオニーは、いい人ね…本当に』

ルナだって分かっていたのだ。自分がどう言ったとしても、彼女が無言で引き下がるわけがない。分かっていても、ルナはハーマイオニーを追いかけたかった。彼女のそんな性格も知って、仲良くなりたいと、はっきり思っているのだから。

談話室に降りると、ランプに照らされた三つの人影が動いていた。

「また君か！」

「あなたのお兄さんに言いつけようと思ったのよ。――あぁ、ルナ！」

『こんばんは、ハーマイオニー。それに、ハリー、ロン』

悠々とした微笑みを浮かべながらルナが近づくと、ハリーがルナの肩にそっと手を置いて言った。

「カーディガンだけで寒くない？」

『大丈夫よ。慣れてるもの』

「…そんなこと、慣れないで」

『……ええ』

ランプに照らされたハリーの表情が、心なしか普段よりも凛々しく見えた。

「じゃあ、行くぞ」

三人が肖像画を開けて外に出ると、ハーマイオニーも後に続いた。

「私、どうしても嫌だったのよ！自分のことばっかり気にして。あぁ、ルナが信用ならないとか、そういうのじゃないのよ？」

「あっちへ行けよ！」

「いいわ。ちゃんと忠告しましたからね」

しかし、ハーマイオニーが振り返ると、そこには肖像画がなかった。

「さあ、どうしてくれるの？」

「知ったことか」

『そろそろ遅れてしまうわ』

「一緒に行くわ」

ハーマイオニーが言った。

「ダメ。来るなよ」

「シッ。なんか聞こえるぞ」

ハリーが短く言った。

『あれは…ネビル？』

ネビルが床に丸まっていた。

「ああよかった！見つけてくれた。合言葉を忘れちゃったんだ」

『わ、わかったわ、ネビル。とりあえず、小さい声で話してね？』

「体調はどう？」

ハリーが聞いた。

「大丈夫、この通りだよ。ルナ、ありがとう」

『いいえ』

「よかったね――悪いけど、また後でね」

「そんな、置いていかないで！ここにいるのはいやだよ」

ためらった後、ハリーが目配せで進めと言ったので、ルナは小さく頷いた。

.