純白の月 (ページ42)

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「…あいつの顔を見たか？あの大まぬけの」

ドラコが大声で笑い出した。他のスリザリン生たちもはやし立てた。

「ルナが助けなかったら、どうなっていたんだろうね！ …ほら、ごらんよ！」

ドラコが飛び出して、草むらの中から『思い出し玉』を拾い上げた。

「マルフォイ、こっちへ渡してもらおう」

ハリーの静かな声に、あたりは静まり返った。

「それじゃ、ロングボトムが取りに来られる所に置いておくよ。木の上なんてどうだい？」

「こっちに渡せったら！」

ドラコはヒラリと箒に乗り、飛び上がった。

「ここまで取りにこいよ、ポッター」

ハリーは箒にまたがり、地面を強く蹴って急上昇した。

『っ…あぁ！私も行くわ！』

今の上昇の仕方で分かったが、ハリーは箒の扱いが上手いようだ。しかし、ドラコも並大抵ではないということを知っている。ルナも、ネビルの思い出し玉を取り返したい――じっとしていられず、ルナは再び箒にまたがって飛び上がった。

「ルナ！あなたまで！」

「大丈夫さ！ルナはさっきも飛んでいる――ルナは大丈夫さ！」

ハーマイオニーの絶叫と、ロンの期待に満ちた声が聞こえた。あっという間に二人の高さまで追いついたルナは、ハリーの隣で止まった。

「こっちは僕とルナの二人だぞ。早く渡せよ。でないと箒から突き落としてやる」

「へぇ、そうかい？」

ルナはハリーをチラリと見た。ハリーも同じようにルナをチラリと見て、そして真剣な表情で小さく頷いた。不思議なことに、ルナにはそれがハリーからの合図なのだと、すんなり理解できた。二人は同時に前屈みになり、二本の槍のように飛び出した。ドラコは危うくかわした。

「ピンチだな、マルフォイ」

『ドラコ、それを返して！』

「取れるものなら取るがいい、ほら！」

ドラコはそう叫ぶと、ガラス玉を空中高く放り投げ、下からそれをキャッチしようとした。すぐさま、追いかけて急降下をはじめる。風の抵抗が遮る――そんなこと、気にしていられない――。やっと追いついて、ドラコの前に回り込むと、ドラコは悔しそうな表情で地面に降り立った。

その時、ルナがはっとして上空を見上げると――そこには、一直線に急降下し、玉と競争するハリーの姿があった。

『ハリー！！』

思わず、口から彼の名が出ていた。

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