純白の月 (ページ41)

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「右手を箒の上に突き出して。そして、『上がれ！』と言う」

　
ルナの箒が、風をきるような音を出しながら飛び上がり、ルナの手に収まった。飛び上がった箒は少ないようだった。ルナの他にハリーだけが手の中の箒を握りしめていた。

『ハリー、すごいわ！』

「ルナも上がってるよ。すごい」

『ふふ、ありがとう』

「さあ、私が笛を吹いたら、地面を強く蹴ってください。すぐに降りてくること――一、二の――」

ところが、ネビルが笛の音が鳴る前に思いきり地面を蹴ってしまった。

「こら、戻ってきなさい！」

ネビルはヒューっと飛んでいった――ルナは、ネビルが真っ青な顔なのを見た。

『ネビル！』

気づくと、ルナの体は勝手に動き、箒の上にまたがり、勢いよく地面を蹴っていた。

「ルナ…！？」

「Ms.ムーンライト！？やめなさい！戻ってきなさい――」

ハリーが、鮮やかな緑の瞳を大きく開いて、ルナの名前を呼ぶのが聞こえた。ルナは真っ直ぐ矢のような速さで飛んでいった。自分が風をきる音が直接聞こえ、そしてだんだんと上昇していく爽快感がこみあげてきていた。

『今助けるわ！』

ルナは手を差し伸べた。

『つかまって！』

なんとかネビルを箒から引き上げることに成功した。箒の後ろに乗せると、続いてネビルの箒をキャッチした。遥か下の地上の、唸るような歓声がルナの耳に入った。

「ルナ！！」

ルナがゆっくりと地上に降り立った時、ハリーが勢いよく駆け寄ってきた。

「すごかった…ルナ、すごかったよ…！」

『あ…ありがとう、ハリー』

照れたように白い頬を赤く染めながらルナは言った。太陽の光をうけ、颯爽と舞い降りる姿はまさに女神であり、姫なのだ。

「Ms.ムーンライト…素晴らしかったです。あなたに20点加点しましょう」

グリフィンドール生たちは、ルナの高得点に歓喜の声を上げた。

「Mr.ロングボトム、まだ息があがっているようですね…。念のため、医務室に連れて行きますから、その間誰も動いてはいけません。さあ、行きましょう」

マダム・フーチは、まだ肩で息をしているネビルを連れて歩いていった。

「きみ、天才だよ！一年生であんなに箒を使いこなせるなんて！」

「初めてだったんでしょう？」

グリフィンドール生たちが次々とルナに駆け寄り、賞賛の言葉をかけた。

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