純白の月 (ページ5)

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『ムーンライト家の金庫を開けたいのですが…』

　

「金庫の鍵はお持ちですか？」

『はい、ここに』

「では、先ほどの方と一緒に案内しましょう」

　

先ほどの方、というのはドラコたちのことだ。カウンターの小鬼が近くにいた別の小鬼に指示をした。指示された小鬼がルナたちのところにやってきて、言った。

「では、参りましょう」

　.

ルナは、元から速い乗り物が好きなほうだったらしい。なぜなら、今グリンゴッツのトロッコを目一杯楽しんでいるのだから。

『きゃー！楽しいっ！』

　

琥珀色の瞳を輝かせて、トロッコから身を乗り出すルナは、年相応の少女の姿になっていた。

時々、ルナがトロッコから落ちそうになるのだが、それを必死に支えているのはドラコだった。ドラコにとっては、そんなところも、可愛い以外の何者でもないのだ。

マルフォイ家の金庫を開けた後、もう少し進んでからトロッコは止まった。

　
「ここがムーンライト様のものです」

　
『私の家の…！』

　

ルナは自分の家がかなり裕福ということは知っていた。しかし、金庫が大量の金貨でうまっているということは、少し、いやかなりの想定外だった。

ルナはおそらくこれくらいあれば大丈夫だろうという量を取り出して、金庫を後にした。

「では、上へ参ります」

　
まるで小鬼の言葉が合図だったかのように、トロッコが動き出した。ルナはまた笑顔になっていた。

「ふっ、ルナ、楽しそうだったな」

　

『ええ！でも少しはしゃぎすぎてしまってごめんなさい』

　

「気にするな。僕も楽しめた」

　
グリンゴッツを出た一行は、次に『マダム・マルキンの洋装店 ――普段着から式服まで』に入った。マダム・マルキンは、藤色ずくめの服を着た、愛想のよい、ずんぐりした魔女だった。

「あら、整ったお顔の方と可愛らしいお嬢さんだこと。お二人とも、今年からホグワーツですの？」

　

「ああ、そうだ。この二人のホグワーツの制服をお願いしたい。こっち女の子の分は別で払う」
　

「承知いたしました。では、こちらへどうぞ。ああ、親御様は付き添っていただかなくても結構でございます」

ルナとドラコは、マダム・マルキンについていった。ルシウスは「教科書を買う」と言い、ナルシッサは「杖を見てくるわ」と言って出ていった。

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