純白の月 (ページ37)

今日:45 hit、昨日:74 hit、合計:26,900 hit

37. ページ37

.

「今日はなんの授業だっけ？」

『スリザリンと合同で、魔法薬学よ。初めてだから、楽しみね。あっ、ハリー、そこのフルーツをとってくれない？私、届かなくって…』

「いいよ。ほら、かして？」

『ありがとうハリー』

ハリーがルナの皿にルナ好みのフルーツを盛り付けたのを見届けて、ロンが口を開いた。

「楽しみだなんて、そりゃないぜ。スネイプはスリザリンをひいきするって、みんなが言ってる――本当かどうかは今日わかるだろう」

『そんな悪い人には見えないけど…』

「ルナ、きみ、正気か？」

ちょうどその時郵便が届いた。アスールは最初の朝食の時に、リルからの返事の手紙と、マルフォイ家からの壮大な「入学祝い」と称した高級品など、たくさんのものを運んできていた。他にも、純血家族からの入学祝いが続々と届くものだから、すっかり疲れ切ったアスールを撫でて朝食をわけるのがルナの朝となっていた。

今朝のアスールは、ハリーの白ふくろうヘドウィグと共にやって来て、ルナにいくつかの手紙を届けた。ヘドウィグはハリーの皿に手紙を置いていった。そこには「金曜の三時ごろにお茶に来ないか」というハグリッドの言葉が書いてあった。ハリーは急いで返事を書いた。

ルナはヘドウィグにもアスールと同じように朝食をわけた。すると、ハリーが返事を書き終わったようで、ルナに声をかけた。

「…ルナ、ヘドウィグを…」

『もうちょっと食べさせてあげたいわ』

ルナが、だめ？と首を少し傾げながら言うと、ハリーはぐっと押し黙った。ルナは、自分のしていることが無意識のうちにハリーの純粋な心を攻撃していることなど、露も知らない。

「――わかった。ちょっとだけだよ」

「…はぁ。きみってやつは…」

ロンはそこまで言って、やっぱりいいや、と話を切り上げた。

.

魔法薬の授業は地下牢で行われた。スネイプは出席をとり、ハリーの名前が呼ばれると、ちょっと止まった。

「あぁ、さよう。ハリー・ポッター。我らが新しい――スターだね」

出席をとり終わると、先生は生徒を見わたした。

「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ。我輩が教えるのは、死にさえふたをする方法である――ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」

クラス中が一層シーンとなった。

.