純白の月 (ページ36)

今日:32 hit、昨日:74 hit、合計:26,887 hit

36. ページ36

.

その時、目が覚めた。ベッドからバッと起き上がったルナは、無意識にも胸元のペンダントをとっさに見た。このペンダントは、ルナが生まれた時にルークとシャインがつくったのだという。使われているのは、ムーンライト家に伝わるムーンストーンだ。いつもはいたって普通のペンダントが、心なしか僅かに光っているような気がした。

あのゆめは、なんだったのだろうか。どうしてか、あの人物たちを忘れてはいけないと思った。ノートを取り出し、見たことをできるだけ正確に、人物の特徴もあわせて書き込んだ。日付も忘れずに。

再び部屋は静かになった。

.

「見て、見て」

「どこ？」

「赤毛ののっぽの隣」

「眼鏡をかけてるやつ？」

「白っぽい髪の子？」

「顔を見た？」

「“月の姫”でしょ？」

「あの傷を見た？」

「あの瞳を見た？」

ルナがハリーとロンと寮を出たとたん、ささやき声がつきまとってきた。ルナとハリーをジロジロ見たり、中にはルナに話しかけてくる人もいた。顔を歪めたハリーの隣で、ルナは丁重に断った。

.

「変身術は、ホグワーツで学ぶ魔法の中で最も複雑で危険なものの一つです――」

変身術の授業で、マクゴナガル先生は厳格な声色で言った。ノートを採った後、一人一人にマッチ棒が配られ、それを針に変える練習が始まった。

授業が終わるまでにマッチ棒をわずかにでも変身させることができたのは、ルナとハーマイオニーのただ二人だった。マクゴナガル先生は、クラス全員に、ルナのマッチ棒がどんなに銀色に輝いているか、そしてハーマイオニーのマッチ棒がどんなに尖っているかを見せた。そして、ルナとハーマイオニーにめったに見せないほほえみを見せた。

「ルナ、きみ、本当にすごいよ」

『ありがとう。二人だって、もっと練習すれば、すぐにできるようになるわ』

「じゃあ今度教えてくれよ。ルナが成功させたみたいに！」

『ええ、いいわ。私でいいなら。…ハーマイオニーじゃなくていいの？』

「だってあいつは…、なんでもない。ルナの方が仲良いからさ」

『そう…』

ルナは少し心に靄がかかったが、次の「闇の魔術に対する防衛術」に遅れそうになっていたので、考えないことにした。

.