純白の月 (ページ33)

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『あのっ…！』

困惑するルナを見て、ハリーは思わずくすっと笑った。

『ハリー、笑わないで！』

「ごめん。ルナにぴったりだなぁって思って」

『きゃー！？』

その後も、ルナがなんと言おうと周りは“月の姫”と呼び続け――“ムーンプリンセス”と呼ぶ人もいた――短時間ですっかり定着してしまったのだった。

「イタッ！」

『ハリー…？』

ハリーが手で額を覆った。

「どうしたんだ？」

「あそこでクィレル先生と話しているのはどなたですか」

ハリーがパーシーに聞いた。ルナは、ねっとりした黒髪の先生を見た。

「あれはスネイプ先生だ。魔法薬学を教えているんだが、本当はクィレルの席を狙っているらしい」

その時、ルナはスネイプと目があった。スネイプは、ルナの姿を見た後、目を逸らした。不思議な人……でも、あの人は何も恐ろしくない、なぜか心の中でそう確信した。

ダンブルドアがまた立ち上がった。

「エヘン――新学期を迎えるにあたり、いくつかお知らせがある。一年生に注意しておくが、校内にある森に入ってはいけません」

ダンブルドアの話は続き、廊下での呪文のことやクィディッチのことなどが知らされた。

「最後ですが、とても痛い死に方をしたくない人は、今年いっぱい四階の右側の廊下に入ってはいけません」

「まじめに言ってるんじゃないよね？」

「いや、まじめだよ」

「――さあ、諸君、就寝時間。かけ足！」

グリフィンドールの一年生は、パーシーに続いて人ごみの中を通り、大広間を出た。

『み、みんなどこ…？』

ルナは小柄なためか、人ごみにもまれてグリフィンドールの列からはぐれてしまった。

「ルナ！」

人ごみをかき分けてルナを呼ぶ声。現れたのは…ハリーだった。

『ハリー！』

「ルナがいなくなったって気づいて、探してたんだ。今、パーシーにお願いしてもらって列を止めてる。ほら、行こう？」

『ハリー、ありがとう！』

歩き出すと、ルナはハリーの手をそっと繋いだ。

『また、はぐれたくなくって…』

ハリーはもう片方の手で口元を隠すと、頰を赤くしながら言った。

「…ぜんぜん」

グリフィンドールの列に合流すると、ロンが「どこ行ってたんだよ！」と言った。

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