純白の月 (ページ32)

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「『ほとんど首無しニック』だ！」

「ほとんど首無し？どうしてほとんど首無しになれるの？」

「ほら、このとおり」

ニコラス卿は自分の左耳をつかみ引っ張った。ハリーはとっさにルナの目を手で覆った。

『は、ハリー？』

周りのみんなが恐怖の悲鳴をあげた。ハリーはルナの目を覆っていた手をそっと外した。

『ハリー、えっと、ありがとう…？』

「うん。見なくても大丈夫さ」

「…さて、グリフィンドール新入生諸君、今年こそ寮対抗優勝カップを獲得できるよう頑張ってくださるでしょうな？ここ最近はスリザリンが取っているのですぞ！」

デザートが現れ、ルナが糖蜜パイを食べていると、家族の話になった。

「ルナは？ムーンライト家だからな。きっと優雅だよね？どんな感じ？」

ロンが言った。

『…そんな、優雅なんてものじゃないわ。私の親はもういないから。でも、寂しくはないわ。しもべ妖精のリルがいるもの』

ルナは笑顔で言った。

「そっかぁ…ムーンライト家って聖29一族の中でもトップクラスだから……正直、僕、ルナが差別とかする人じゃなくて安心してるよ」

『差別？そんなものしたくないわ。おかしいもの。マグル生まれだから、半純血だから、純血だからどうしたって言うの？全部、関係ないもの』

いつの間にかグリフィンドール中の注目がルナに集まっていた。ルナはただでさえムーンライト家という家系と生き残った子という肩書き、何より容姿のおかげで注目の的だ。それに加えて差別をせず、優しい性格なのだ。

「なあ、ルナ！」

「俺たちのこと覚えてるか？」

『はい、フレッドとジョージ・ウィーズリー先輩、ですよね』

「みんな聞いたか！ルナが俺たちの名前を覚えててくれたぞ！」

「俺たち、汽車で少し話しただけだぞ！」

双子が大きな声で言ったので、ルナは恥ずかしくなった。

「可愛いな、ルナ！」

「まさにプリンセスだな！」

『だからっ、プリンセスってなんですか！』

双子はルナの叫びなどお構いなしに話を続けていく。

「それにムーンライト家だ。瞳も月の色みたいだな…」

「じゃあ、ルナはこれから“月の姫”ってのはどうだ！？」

「最高だ、相棒！」

ルナは固まった。“月の姫”？ ……姫？

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