純白の月 (ページ19)

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一切れつまみ上げ、パンをめくってロンが言った。

「ママったら僕がコーンビーフは嫌いだって言っているのに、いっつも忘れちゃうんだ」

　

『ロン。私のと変えましょうよ。これ、食べて…』

　
ルナがパイを差し出しながら言った。

「でも、ルナ、これ、パサパサで美味しくないよ」

　

「いいから、パイ食べてよ」

　

ハリーもロンにパイを差し出した。

「ありがとう…」

　
ロンはパイを受け取り、美味しそうに食べた。

「これはなんだい？」

ハリーは蛙チョコレートの包みを取り上げて開いた。

『ハリー、それは蛙チョコレートよ』

「まさか、本物のカエルじゃないよね？」

『まさか。でも、カードが入っているの。見てみて』

「僕、アグリッパがないんだ」

「なんだって？」

『チョコを買うと、中にカードが入っているの。みんなが集めるのよ――有名な魔法使いとか魔女の写真』

「僕、五百枚ぐらい持ってるけど、アグリッパとプトレマイオスがまだないんだ」

ハリーは蛙チョコの包みを開けてカードを取り出した。男の顔だ。半月形のメガネをかけ、流れるような銀色の髭を蓄えている。写真の下に「アルバス・ダンブルドア」と書いてあった。

「この人がダンブルドアなんだ！」

ハリーが声を上げ、カードの裏を読んだ

アルバス・ダンブルドア

現在ホグワーツ校校長。
近代の魔法使いの中で最も偉大な魔法使いと言われている。
特に、一九四五年、闇の魔法使い、グリンデルバルトを破ったこと、ドラゴンの血液の十二種類の利用法の発見、パートナーであるニコラス・フラメルとの錬金術の共同研究などで有名。
趣味は、室内楽とボウリング。

ハリーがまたカードの表を裏返してみると、ダンブルドアの顔が消えていた。

「いなくなっちゃったよ！」

「そりゃ、一日中その中にいるはずないよ」

『また帰ってくるわよ』

しばらくするとハリーはカードから目を離し、バーディー・バッツの百味ビーンズの袋を開けた。

『ハリー、その百味ビーンズはね、気をつけたほうがいいわ』

ルナが苦笑いで注意した。

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