純白の月 (ページ18)

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『兄弟がいっぱいいるのは、私にとってとても羨ましいことよ。きっと、賑やかで楽しいんでしょう？』

　
淡々と話しているが、これがルナの本音だった。

「そうだよ。ふくろうを買う余裕がなくたって、何も恥ずかしいことはないさ。――それに、ハグリッドが教えてくれるまでは、僕、自分が魔法使いだってこと全然知らなかったし、両親のことも、ヴォルデモートのことも…」

ロンが息をのんだ。

　

「君、『例のあの人』の名前を言った！」

　

ロンは驚きと賞賛の入り交じった声を上げた。

「君の、君の口からその名を…」

　
「僕、名前を口にすることで、勇敢なところを見せようってつもりじゃないんだ。名前を言っちゃいけないなんて知らなかっただけなんだ。わかる？僕、学ばなくちゃいけないことばっかりなんだ――きっと…きっと、僕、クラスでビリだよ」

　

『そんなことないわよ。マグル出身の子もたくさんいるし、私だって学ぶことでいっぱいよ』

　

「ルナも？」

　
『ええ！一緒に頑張りましょう！』

　
ルナは微笑んだ。ハリーは知らぬ間に頬が赤くなっていた。

　
話しているうちに汽車は、牛や羊のいる牧場のそばを走り抜けていった。三人はしばらく黙って、通り過ぎてゆく野原や小道を眺めていた。

十二時半ごろ、通路でガチャガチャと大きな音がして、えくぼのおばさんがニコニコ笑顔で戸を開けた。

「車内販売よ。何かいりませんか？」

　
ハリーが勢いよく立ち上がり、ルナも続いた。ロンはまた耳元をポッと赤らめて、サンドイッチを持ってきたからと口ごもった。

ルナとハリーは通路に出た。

『ハリー、何にするの？』

　
「僕、わかんないや。どれが美味しいの？」

　
『うーん、そうね…どれも良いのだけれど…蛙チョコレートとか、かぼちゃパイ、とかが人気ね。あ、あと百味ビーンズもかかせない！』

　

ルナは笑顔をさらに輝かせて言った。

　

「じゃあ、ルナが今言ったやつ……や、やっぱり、全部ください！」

　
『ハリーったら！じゃあ、私はさっき言ったものをお願いします』

　
ルナとハリーはおばさんに代金を支払って、買い物を開いている座席にドサッと置いた。ロンは目を皿のようにして眺めている。ロンはデコボコの包みを取り出して、開いた。サンドイッチが四切れ入っていた。

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