純白の月 (ページ17)

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「ねぇ、ハリー。きみ、ほんとうにあるの…ほら…」

ロンはハリーの額を指さした。ハリーは前髪をかきあげて稲妻の傷跡を見せた。

「それじゃ、これが『例のあの人』の…？」

「うん。でも何も覚えてないんだ」

「なんにも？」

ロンが熱っぽく聞いた。

「そうだな…緑色の光がいっぱいだったのを覚えてるけど、それだけ」

「うわー。じゃ、ルナ、きみも？」

『そうね。私は緑色の光もそうだけど……あたたかい光を覚えているわ』

「あたたかい、かぁ」

ロンは、首を少し傾げた後、しばらく二人のことをじっと見つめていた。

「君の家族はみんな魔法使いなの？」

「あぁ…うん、そうだと思う」

「じゃ、君なんか、もう魔法をいっぱい知ってるんだろうな」

『ハリーはマグルと暮らしていたって聞いたけど…どんな感じなの？』

「ひどいもんさ…みんながそうだってわけじゃないけど。おじさん、おばさん、僕のいとこはそうだった。僕にも魔法使いの兄弟が三人もいればいいのにな」

「五人だよ」

ロンの顔がなぜか曇った。

「ホグワーツに入学するのは僕が六人めなんだ。期待に沿うのは大変だよ。ビルとチャーリーはもう卒業したんだけど…ビルは主席だったし、チャーリーはクィディッチのキャプテンだった。今年はパーシーが監督生だ。フレッドとジョージはいたずらばっかりやってるけど成績はいいんだ。みんな二人はおもしろいやつだって思ってる。僕もみんなと同じように優秀だって期待されてるんだけど、もし僕が期待に応えるようなことをしたって、みんなと同じことをしただけだから、たいしたことないってことになっちゃう。それに、五人も上にいるもんだから、何にも新しいものがもらえないんだ。僕の制服のローブはビルのお古だし、杖はチャーリーのだし、ペットだってパーシーのお下がりのねずみをもらったんだよ」

ロンは上着のポケットからぐっすりと眠った太ったねずみを引っ張り出した。

「スキャバーズって名前だけど、役立たずなんだ。寝てばっかりいるし。パーシーは監督生になったから、パパにふくろうを買ってもらった。だけど、僕んちにはそれ以上の余裕が…だから、僕にはお下がりのスキャバーズさ」

ロンは耳元を赤らめた。しゃべりすぎたと思ったらしい。

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