純白の月 (ページ16)

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その時、汽車が滑り出した。

プラットホームで、ふっくらとしたどこかの母親がホグワーツ特急に手を振っているのをルナとハリーは見ていた。赤毛の女の子が半べその泣き笑いで、汽車を追いかけて走ってきたが、追いつけない速度になった時、立ち止まって手を振るのが見えた。汽車がカーブを曲がって、女の子と母親の姿が見えなくなった。

ルナの心は踊っていた……何があるかはわからないけど、きっと、楽しい。

その時、コンパートメントの戸が開いて、赤毛の男の子が入ってきた。

「ここ、空いてる？他はどこもいっぱいなんだ」

ハリーがうなずいたので、男の子は席に腰掛け、チラリとルナとハリーを見たが、何も見なかったような振りをして、すぐに窓の外に目を移した。

「おい、ロン」

そっくりな赤毛の双子がやってきた。あまりのそっくりさに、思わずルナは瞬きを数回した。

「なあ、俺たち、真ん中の車両あたりまで行くぜ…リー・ジョーダンがでっかいタランチュラを持ってるんだ」

「わかった」

ロンと呼ばれた男の子がモゴモゴ言った。

「やぁ」

双子のもう一人が言った。

「きみ、すごく可愛いね。プリンセスみたいだ……」

『え？』

その言葉はルナに向けられたものだった。

「自己紹介しなきゃな。僕たち、フレッドとジョージ・ウィーズリーだ。こいつは弟のロン。じゃ、またホグワーツでな、プリンセス！」

『ぷ、プリンセスって何ですか！？』

双子はコンパートメントの戸を閉めて出ていった。嵐のような人たちだ。

「君たち、なんていう名前なの？」

ロンがポロリと言った。

「ハリー・ポッターだよ」

『ルナ・ムーンライトよ』

「きっ、君たちが生き残った子なの！？」

ロンが目を輝かせた。

『ええ……世間的には、そう呼ばれているわね』

「僕たち、今ここで知り合ったばっかりだから。それにしても、ルナ、きみも…そうだったんだね」

『……隠してるつもりはなかったのよ。言う機会がなかったものだから』

ルナとハリーがそれぞれ答えた。

「そっか……あぁ、僕はロナルド・ウィーズリー。ロンって呼ばれてるよ。よろしくね、ハリー、ルナ」

『ええ、よろしくねロン』

「よろしく、ロン」

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