純白の月 (ページ14)

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9月1日、ルナは今日からホグワーツ魔法魔術学校の生徒となるのだ。

『じゃあね、リル。行ってくるわ』

「楽しんでください！」

今までずっと過ごしてきたムーンライト館から、離れて暮らすのだ。大木のざわめきを背に、白で統一された館の少女は、太陽の光につつまれながら館を出た。

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ホグワーツ行きの切符に書かれていること――それは、『9月1日――キングズ・クロス駅――9と4分の3番線――11時発』のたったそれだけである。

『9と4分の3番線？』

当然ながら、それ以外のヒントは切符には書かれていない。ルナはルシウスとナルシッサに言われたことを一生懸命思い出しながら、9番線と10番線の間の柱の前まで来た。

『あぁ、そうだわ！』

思い出したのだ――二人が「9番線と10番線の間の柱に向かって走れ」と言っていたことを。

カートを握りしめ、足を踏み出す――少しずつスピードを上げ、ついに目の前に柱が迫った。ぎゅっと目を瞑る――しかし、何も感じなかった――まだ走っている。

ルナが目を開けると、そこには紅色の蒸気機関車が、乗客でごった返すプラットホームに停車していた。ホームの上には『ホグワーツ行特急11時発』と書いてある。振り返ると、改札口のあったところに9と4分の3と書いた鉄のアーチが見えた。

できた！

うれしい気持ちでいっぱいになり、はやくホグワーツ特急の席を取ろうと中に入った。

ルナがカートを押しながら歩くと、乳白色の髪がたなびいてゆれた。その姿に、人々はわざわざ振り返ってルナのことを見る――紅色と白色は、驚くほどに美しかったのだから。

ホグワーツ特急内は、もうすでに先客がいるコンパートメントも多々あった。ゆっくりと時間を過ごしたいという願望を持つルナが見つけたのは、ほとんど最後尾の車両近くに空いているコンパートメントだけだった。

アスールの籠を座席にそっと置いて、ルナはトランクを持ち上げようとした、が、重すぎて持ち上がらない。何せ、ルナは読書のためと称して、館からありったけの分厚い本を詰め込んできたのだ。

仕方がないので、杖を取り出し、一振りしてトランクを浮かせた。教科書に出てきた呪文を予習の一環として練習してきたことが功を奏した――ルナは、ふぅ、と息ついて座席に座り、外のプラットホームに目をやった。

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