純白の月 (ページ11)

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ルナは杖を振ってみた。すると、バリーン！という大きな音と同時にそばに置いてあった花瓶が割れ、水が噴き出した。

『す、すみません……』

「大丈夫。よくあることじゃ」

オリバンダーはもう次の杖を用意していた。その後何本も試したが、いっこうにルナに合う杖は見つからない。それなのに、オリバンダーは楽しそうだった。

「ふーむ、難しいお方じゃの。心配なさるな、必ずピッタリ合うものをお探ししますでな。……さて、次はどうするかな……おお、そうじゃ……」

そう言うと、オリバンダーは店の奥へ行き、今までの杖とは違う雰囲気を醸し出すひとつの箱を慎重に抱え、戻ってきた。

『この杖……』

ルナは箱から丁寧に出された杖を見て、ふと思った。どこかで知っている雰囲気だ、と。

「どうぞ」

ルナは杖を手に取った。先ほどまでとは違う、手に馴染む感触だ。

フワッ

ルナが杖を振ると、杖からあたたかな光がでた。薄暗い店の中が、たちまち明るく照らされる。

次の瞬間、ルナの瞳は大きく開かれた。光の中からまるい月が現れたのだ――まるで霞がかっているかのように儚く。あたりが月の光によってさらに照らされた。とても明るく、そして美しい――現れたまるい月が、まるでルナを歓迎するかのように光を照らし続けている――。

ルナははっとした――これだ。

「おおお！ムーンライトさんはこの杖のようじゃな。いやはや、これも運命か……」

『運命ってどういうことですか？この杖は……』

まるい月は、琥珀色の瞳に光をうつして、そしてゆっくりと、まるで霧のように消えていった。

「ムーンライトさん、この杖は滅多にない組み合わせ――ムーンライトの木に不死鳥の羽根、26センチ、振りやすい、じゃ」

『ムーンライトの木、って、まさか』

ムーンライトの木は、ルナがいつも読書をしている、あの心地よい神秘的な大木のことだ。植えられたのはムーンライト家が館に住み始めた頃なので、もう何世紀も前のことになる。

ムーンライトの木は月の光をよく受けて育っており、木の一部を使って作られたものには、月の力が宿るとされている。

「この杖に使われている木材は、貴方様のお館のものじゃ。他の木材よりも、はるかに力が強い」

驚いたが、自分の大好きな木の一部を使えるのはとても嬉しいことだった。

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