純白の月 (ページ2)

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あたたかな昼の太陽の光が、少女をつつんでいた。

白で統一された豪華な屋敷の庭には、一本の大木がたたずんでいる。

例に見ないほどの「雲一つない晴天」であるにもかかわらず、少女はその大木の根元にそっと腰をおろし、影に紛れて皮表紙の本を一冊開いていた。

いくら影に紛れているとはいえど、少女の容姿は万人からの目をひくほど美しいのである。少女が本のページをひとつめくるたびに、乳白色のやわらかく長い髪がゆれ、透き通るような琥珀色の瞳は伏せられた。

長い息をはいた少女は、本をゆっくりと閉じて隣に置いた。少女が己の身を大木のごつごつとした幹にあずけると、大木はまるで少女のことを歓迎するかのように葉をゆらした。

木漏れ日が降りそそぎ、少女の白い肌の上で、首からさげたペンダントが煌めいた。

「……お嬢様！ ……ルナお嬢様！」

『…リル？私はここ』

淡麗な顔をあげて、少女は答えた。

「お嬢様、こちらをご覧ください！」

　
『これ…ホグワーツからの手紙…？』

屋敷しもべ妖精であるリルがルナに差し出したのは一通の封筒だった。そこには緑のインクで『ムーンライト館ルナ・ムーンライト様』と書かれている。

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親愛なるムーンライト殿

　
このたびホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。
教科書並びに必要な教材のリストを同封いたします。

　
新学期は九月一日に始まります。
七月三十一日必着でふくろう便にてのお返事をお待ちしております。

　
敬具

　
副校長ミネルバ・マクゴナガル

　
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『リル、私、父様と母様のような立派な魔女になりたい！』

　

「もちろんでございます！リルはとても嬉しゅうございます！」

　
ルナが微笑むと、肩よりも少し下までのびた髪が風でたなびいた。

『リル。父様と母様はホグワーツでであったのでしょう？』

　

「はい。ルーク様もシャイン様もグリフィンドールでした」

　
“ルーク”と“シャイン”という名前が出たとたん、ルナはさらに顔を輝かせた。

ルークとシャインは、ルナと父親と母親である。ホグワーツで同じグリフィンドール寮生として出会い、交際を始めたのだとルナはリルから聞いていた。

　
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