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界は下唇を噛んでピアノの部屋まで駆け込む。




そしてピアノの蓋を開け、鍵盤に触れようとした時、例のボディガードの男が扉を開け中に入ってきた。




界は驚いて手を下ろし、「何しに来た」と男を睨む。




男は先刻の会話が聞かれていたことに気付いて界を追って来たようだった。




しかし男は口角を上げてポケットに手を突っ込みながら界に近付く。




「恐ろしい目だな。そんなに俺が憎いか」




界「当たり前だ! 何がおかしい!」




ニタニタと笑い続ける男に界は椅子から飛び降りて叫んだ。




「可哀想だと思ってな。お前は家族にさえ裏切られてる」




ブワァを頭に血がのぼり怒りで目の前がチカチカするような感覚に界は歯をくいしばる。




「まぁ、お前には感謝してるよ。お前のおかげでこっちは贅沢させてもらってるからな」




界「……っ!!!」




男は怒りと憎しみのこもった界の瞳を見て、さらに楽しそうだった。




「恨むならお前の父親を恨めよ。まあ、そいつ一人じゃないだろうが」




界「何言って……!?」




「考えてみろ。誰のおかげで俺は高景家に取り入れたか。誰のおかげでお前に傷を負わせれたか」




ーーーダメだ! 聞くな、界!




Aは男がこれからの界を想像してとても楽しそうに、嬉しそうにしていることに気付いた。




「お前のじいさんのおかげで俺は高景家と関わりを持てた。それから、お前を刺したあの日。俺はお前の母さんのおかげで難なくお前と二人っきりになれた」




男の言葉に界は当時のことを思い出し、息を飲んだ。




「お前の母親は旦那の計画を知っていながら、わざとそれを実行しやすい状況を作り上げてくれたんだよ」




界「うるさい」




界から滲み出る怒りに含まれた殺気に男は笑みを絶やさない。




界「殺してやる……っ」




「殺したいほど憎いか。はっはっは! 本当な可哀想だな。お前にそれができるのか」




界はいきなり男に飛びかかった。




どうにもならない怒りを男にぶつけようとした。




しかし男は苦もなく体をずらすと界に足をかけた。




界は簡単に転がされてしまう。




それでも界は男を睨んだ。




「ははは。良い目だよ。良いこと教えてやろうか。無力なお前でも人を殺せる方法を」




断言できる。




ここでの界の精神は正常ではなかった。




「お前自身が死ぬことだ」




でなければ、こんな男の言うことを信じたりしなかっただろう。




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Ren(プロフ) - とても面白いです!!更新頑張ってください! (2018年10月28日 23時) (レス) id: 572a8ca0c0 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - すごく続きが気になります!更新ゆっくりでいいんで頑張ってください!楽しみにしております (2018年7月21日 1時) (レス) id: d31ba2a391 (このIDを非表示/違反報告)
悠与(プロフ) - すごく読みやすくて素敵な作品でした!またお時間があるときに更新していただけると嬉しいです^^ (2018年7月19日 13時) (レス) id: 6d9bae1f6c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:moon | 作成日時:2018年4月29日 22時

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