4月の桜〜思い出すのは君の笑顔〜【Monthly Story〜月別の王子様〜】

April cherry　　40 ページ42

*





翔「んだここ？」


那「墓地、ですね…」


嶺「誰かのお墓詣り？」


蘭「どうせ母親とかだろ。”美風家”ってあるし。」


カ「美風も律儀なのだな。」


藍「違うよ。母親の墓なんかない。ここに眠ってるのは…







・







・






・






　 僕の奥さん。」



全-藍「「「「「…はぁぁぁぁぁぁぁぁ！？」」」」」


嶺「アイアイ、奥さんいたの？！」


蘭「というかお前、結婚してたのか…？！」


カ「美風貴様、どういうことかわかっているのか！？」


藍「うるさい、静かにして。

　 僕らが結婚したのは、僕がアイドルになる前。

　 今日は僕らの結婚記念日。

　 それから…彼女の命日。」


那「命日、ですか…？」


藍「そう。彼女が亡くなった日に籍を入れた。

　 だから夫婦でいた時間は、実際は無に等しい。

　 それでも僕らは愛し合ってた。

　 他人の一生分、いやそれ以上。

　 だから後悔はしてない。彼女と結婚したこと。

　 むしろ幸せなことだよ。

　 僕と彼女は、同じ名前を背負っている。

　 ここに眠っているのは、僕の最愛の人なんだ。」


翔「藍…」


藍「彼女に誇れるように生きる。

　 彼女の分まで、堂々と。

　 僕がこの世で最も愛した、最初で最後の人だから＿＿＿＿＿＿＿＿」





ｻｧｧｧｧ




強く美しい春風が、また今日も通り過ぎる。


今年もまた、春が来た―――――――――――――――…

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