★待っていたもの ページ14
承太郎が平日は学校というところへ行くことになった。このままだと進学が危ういらしい。
「…私もお供します」
「駄目だ」
「はい」
学校は学ぶ場所、私はついて行ってはいけないそうだ。朝の玄関でお見送りをする。
「…行ってくる、家で静かにしてろ。いいな」
「はい。いってらっしゃいませ」
「いってらっしゃ〜い！Aちゃんのことは心配しなくて良いのよ！」
「ワシがバーッチリ見張っておくからのぅ！」
「…やれやれだぜ」
日はもう登っている。吸血鬼は日中外へ出られない。DIO様は夜中に出かけていくから、『待て』と言われれば、いつまでも待っていたけれど、こうして着いていけないなんてことは無かった。
家から気だるそうに出ていく承太郎の背中を見送った。後から「キャ〜JOJO！！」と声の大きい女性達の悲鳴のような声が聞こえて、少し驚く。
何かあったのだろうか。伸ばそうとした手を上げようとして、直ぐに降ろした。
わたしはそこへは行けないから。
「あっ！いけないわ、洗濯物干さないと！」
思い出したようにホリィさんは洗面所の方へ小走りで向かった。
「…」
「…」
じっとしていると、ジョセフさんが私の顔を訝しげに覗き込んてきた。
「…何でしょうか？」
「のぅ、Aさんはいつまでここに突っ立ってるんじゃ」
「承太郎が帰ってくるまでです」
「そんなに立っているつもりなのか！？帰ってくるのは多分17時とかじゃぞ！？」
「はい」
「はいって…忠犬みたいじゃのぅ……DIOのときはどうだったんじゃ。留守番の時は」
「DIO様のときもこうして待っていました。ですが、玄関で帰りを最後まで待っていられたことはほとんどありません」
「そうなのか？」
「『そこにいるのは邪魔だから部屋にさっさと戻れ』といわれます。1番多かったのは『暇があるならゲームの対戦相手になってください』でした」
「…テレンスか」
「はい」
「成る程のぅ…Aさんと初めて会ったのは館の中だったのぅ」
「そうですね。あの時も待っていました」
DIO様の帰りを待っていた。結局、帰ってくることは無かったけれど。
首のチョーカーに触れる。首輪に着いている鈴が、記憶を呼び覚ますように小さく鳴った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 218人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジョジョの奇妙な冒険」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もむ(プロフ) - ねこにこみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！気に入って頂けて良かったです！！☺️ (2022年12月6日 20時) (
レス) id: eb2a8276cb (このIDを非表示/違反報告)
ねこにこみ(プロフ) - 完結おめでとうございます……！！めっちゃ好きな作品です……！！ (2022年12月5日 21時) (レス) @page42 id: e3e17bc231 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - ろぐろぐさん» ありがとうございますw作品序盤の方だけ見ましたが謙遜ですね？！まさかの連載中とは吃驚しました…お互い連載頑張りましょう！ (2022年7月21日 0時) (レス) id: eb2a8276cb (このIDを非表示/違反報告)
ろぐろぐ(プロフ) - 好きィ。好き通り越して愛しいくらい素晴らしい作品です♡私の投稿する作品とは大違い…(遠い目)。これからの更新楽しみにしています！ (2022年7月20日 9時) (レス) id: e8d14a72f8 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - 匿名さん» モチベ上がりました！コメありがとうございます！！頑張ります😘 (2022年6月28日 22時) (レス) id: e33597e408 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
