其ノ玖 ページ10
「よくこんなところ知ってますね!不死川さん」
「あァ……昔よく来たんだ」
昔よく来た……ほかの誰かと一緒に来たのかしら……。
なんて考えているとデコピンを食らう。
「痛ッ!?なんですか!!びっくりしたじゃないですか!!」
おでこを抑え、思わずしゃがみこむと顔を覗いてくる不死川。
「なっ……なんですか…?」
「…………いや、なんでもねェ」
そうするとスタスタ歩きどかりと地面に座り込んだ。
そーっと近づき隣に座る。
「おはぎ、美味しかったです」
「そうかァ」
「はい、もっと美味しいおはぎ食べてみたいです」
「……今度連れてってやるよォ」
「え゙っ……」
思いがけない言葉に思わず驚く。
「なんだ、嫌なのかァ?」
「いえいえ!ただ、意外だなーって」
「意外か」
「ええ、こんなに優しい方だなんて思ってなかったです。いや、優しいのは知ってるんですけど、初対面の人にこんなに心開いてくれる人だなんて、思ってなくて……」
「……そうだなァ…」
そう言いながらぼんやりと景色を眺める不死川さんの横顔はどことなく嬉しそうだった。微かに頬が赤く見えたのは気のせいだろうか。
あ、この顔……
見たことある。
そう本の中でもこの顔に、恋をしたんだよね……。
人に対する不器用さと、本当は心優しい人だって、知ってるもん。
「帰りますか。実弥さん」
あ、実弥さんとか言っちゃった。
案の定キョトンとした顔でこちらを見ている不死川さん。
「あーっと……お近付きの印にってことで…痛ぁっ!!」
弁解している途中に殴られた。
「うるせェ……新人の癖に下の名前で呼ぶバカが何処にいるんだよ……行くぞォ…A」
「!?最後の方聞こえなかったのでもう1回お願いします」
「殴られてぇのかァ……」
「嘘ですすみません」
スタスタと進む不死川さんの後を追いかけた。
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やっと不死川さんが登場しましたぁ……。長かった……。
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作者名:かふぇもか | 作成日時:2019年11月3日 15時