煉獄さんはむつかしい

35話 ページ36

杏寿郎が山のお屋敷に移動するまでの一ヶ月間
私はやばいくらい看護の勉強した。





死ぬかと思った。
死ななかった。
良かった。






大体、杏寿郎の怪我は全治4ヶ月程。





うち、蝶屋敷で一ヶ月、山の屋敷で一ヶ月半、家での療養が一ヶ月半。




最初は結構長いのかなと思ってたけど
しのぶちゃんが言うには、あの怪我がこの期間で全治するのは化物級の速さらしい。






私の幼馴染は化物だったのか。
　
いや初耳だわ





まあ化物なんだろうがなんだろうが怪我が治るまでは、できるだけ患部を動かしてはいけない。



患部っていったら杏寿郎は四肢全部を動かしたらいけない。


　
要するに。何も動かしてはいけないと。








…………なんだそれ！！


いや、






なんだそれ…！








まあ両踵の打撲はこの一ヶ月でだいたい治るらしいので右足だけで移動はできる。

けんけんで。

……うん！やめたほうがいいね！！







しかも手を動かすことは極力避けるため、風呂、食事などは自分でできない。



…やることいっぱいだ。お風呂どうすんねん。







そしてたまに私は千寿郎くんと杏寿郎のお見舞いに行った。






毎回、杏寿郎は元気だった。





「A！千寿郎！よく来てくれた！毎日暇だ！助けてくれ！わははははははは！！！」
　
…ほんとに骨折れてんのかってくらい元気だった。





すげえ。







たんぽぽくん、竈門くん、嘴平くんのお見舞いに行くと
この世の終わりかってくらいたんぽぽくんに叫ばれたのでもう行かないことにした。

(嬉しくて叫んだらしいですね。怖い。)




3人とも杏寿郎程の重症ではなく、
口を揃えて煉獄さんが凄い、もっと俺たちも頑張らなくてはって言ってた。

　


向上心凄まじいな。
尊敬しますわ。








そして、
宇髄さんは割と元気らしい。

少し白目に傷が入ってしまい、腕の骨がバキバキに折れてしまったらしいが機能的には問題ないんだって。







それで割と元気とか言っちゃってんのが割と普通じゃないよね。








「煉獄が間一髪のとこで来てくれなかったら腕と目はなくなってたぜ！」って笑ってたらしい。








すげえ。









看護の勉強とお見舞いと家事に追われ、いつの間にか杏寿郎が山の屋敷に移る前の日になってた。

いやはや、時が立つのは早いですなあ！









次の日。

母と父にがんばれよ、幸運を祈る、と少しズレた声をかけられ、私は家を後にした。

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