M!LKで桃太郎其の壱 (ページ1)

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第一話ページ1

昔々、中津国(なかつくに)にある小さな村のはずれに、お爺さんとお婆さんがおりました。
子供のいないお爺さんとお婆さんは、それでも二人力を合わせて仲睦(なかむつ)まじく暮らしておりました。
ある日、お爺さんは山へ柴刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。

お婆さんが川で洗濯をしていると、川上の方から、どんぶらこ、どんぶらこと、大きな何かが流れてくるではありませんか。
お婆さんが目を凝らして見てみると、それは、大きな赤い箱と、白い箱でした。
やがてその二つの箱は川岸に漂着し、お婆さんは恐る恐るその箱に近づくことにしました。

媼(おうな)「何だろうね、これ……」

今まで見たこともないような色鮮やかな赤い箱に、何の穢れもない透き通るような白い箱。
触れてみると、幸いにもお婆さんでも持てる程軽いようです。
一体何が入っているのか少し気になったお婆さんは、その二つの箱を荷車に乗せて、家に持ち帰ることにしました。

翁(おきな)「婆さんや、それは何だい」

お婆さんが家に帰ると、既にお爺さんが沢山の薪を抱えて帰ってきていました。
彼も、お婆さんが持ち帰った赤と白の箱が気になります。
そして、二人でその二つの箱を家に運ぶと、早速その箱を開けてみることにしました。

翁「なんとこれは……！」

まず白い箱を開けたお爺さんは、箱の中に驚きました。
そこには、一口(ひとふり)の刀が入っていたのです。

翁「立派な刀じゃ。誰の物だろう」

黒く輝く鞘から刀を少し抜いてみると、宝石のように妖しく輝く漆黒の刃。
しかし、白い箱にはそれ以外の物は入っておりません。

媼「じゃあこっちの箱を開けてみようかね」

今度は、お婆さんがもう一つの赤い箱をのふたに手をかけました。
ゆっくりとふたを開けると、彼らは更に驚きました。