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その七、過去と決断 ページ7

僕は部活を辞めなかった
その間もたくさん嫌がらせはされたけど、こんなことで僕からバレーを奪わせたくなかった
そんな僕に諦める部員もいたけど、セッターの先輩とあと数人はまだ僕を憎たらしく思っていたんだろう

ある日の放課後
体育館に向かおうと階段を降りようとしていた
その時、一瞬の背中への衝撃、浮遊感
階段にぶつかったんだ。体の至る所が痛い

幸い、頭はぶつけてない

『っ…!?』

曲がってはいけない方へ曲がる手首
折れた、のか……?

痛みよりも絶望が大きかった

「次は、牛島だぞ」

鬼のような表情を浮かべる先輩が目に入った


.
先輩はすぐに退学となり、今までの行為から他の部員も退部、停学になった人が出た。
これでもう大丈夫、そう思った

でも、でも僕は


もうバレーを


やりたくなかった


怪我が完治しても、部員から謝罪を受けても
バレーの音を聞くだけで、心拍が上がり、ボールを前にして過呼吸になった

若利はそんな僕を心配していろいろとバレーに戻れるように手伝ってくれた

バレーの音はもう平気だった
ボールの音、シューズの擦れる音
ひどく懐かしい音はもう僕を苦しめなかった

それでも、僕はまたボールを持つことは出来なかった。いつでも戻ってこいと言ってくれた先生や仲間、若利に申し訳なくなった。
だから僕は、退部届けを書いて

バレーから離れた


僕はバレーが好きだ
人が酸素を糧に呼吸をするように、
僕はバレーを糧に呼吸をした

手にかかるあの重みが、
響きわたるあの音が全部好きだ

でも、僕が1番好きなのは、若利のバレー
絶対的エースの姿
僕は、それがこれからも続いていく、その事実があるなら、もう十分なんだ

その八、過去と今→←その六、過去と意志



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作者名:鳥屋 | 作成日時:2019年10月18日 17時

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