【wrwrd】敵対している人間界の魔法学校に入学した魔王サマ (ページ5)

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第四話ページ5

『ねぇ兄さん、君任務でここ来たんだよねぇ？』

腕を組みながら兄さんに問う

兄「....はい、仰る通りです。」

若干冷や汗をかきながら兄さんは呟く

『まぁ良いけどさ。兄さんのお陰でここに入学できたし？』

話し合う為に移動した空き教室をまじまじと観察する

兄さんがAの方を恐る恐る伺うが、彼の心配は不必要だった

『元々人間界の学校には興味があったし。それに、噂の彼らも観察できるでしょ？』

ケラケラと笑いながら教壇を椅子替わりにして座る

Aの言う噂の彼らとはここの生徒会のメンバーのことだ

家柄も良く、魔力もよく、更には顔も良いということで魔界でも話題になっていた

一目で良いから見てみたいという願望をメイドが話していたのを耳が腐るくらい聞いた

『まぁ、その噂の生徒会の顧問が兄さんっていう話は初耳だったけどねぇ〜』

いかにも不満そうな顔をしてAが言う

兄「...成り行きで？」

『なぜ疑問形？』

サラッとツッコミをしながら空き教室から出る

兄「....でも、大丈夫なのか？」

唐突に、兄さんが不安そうにAの顔をのぞき込む

『何が』

兄「.....シュピーゲルの事」

ピタリとAの動きが止まった

『....今は落ち着いているから多分大丈夫。』

伏し目がちにそう呟くAの瞳には色々な感情が混ざり合って、複雑だった

そう言って俯いた顔の影のせいで、どんな表情を浮かべているのかは分からない

勿論、兄さんにも

『でも、"もしも"何かあったら、よろしくね』

パッと顔をあげたAは作り笑いを浮かべていた

二人が何の話をしているのか、"今は"分からない

だけど、きっといつか分かる日が来るだろう