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入院3日目。




Aは看護婦に連れられ、検査に向かった所だった。



それと入れ替わりに、この部屋の担当らしき看護婦が、
Aのベッド周りを片付け始める。


もう松葉杖無しでも、歩くのに支障が無い俺は、
看護婦の元まで近づいた。



「...あのー」




本人のいないところで、話を聞くのは気が引けたが、
俺はどうしても、あいつのことが知りたかった。




そして看護婦から、Aのほぼ全てのことを聞いた。




Aは幼い頃から、心臓、肺共に患っていたこと。

それによって、寿命が20歳までと言われていたこと。


今あいつは、25歳だという。

告げられていた寿命から長く、
それにあんなに元気なのは、奇跡に近いと。



しかし、Aが背負っていたのは、
病気のことだけではなかった。


15歳の頃、容態が急変したAを、
病院に連れて行く途中、交通事故に遭い、
両親、姉を亡くしていたのだった。


〈両親の方も、お姉さんも....
 Aちゃんを庇うように.....〉


「.....あいつ俺と話した時、
 看護婦さん以外の人と話すの久しぶりって...
 その...親戚とか友達とかって...」


〈....あの子、自分から全部...
 突き放しちゃったみたいなの...〉


「..突き放した?」



その看護婦によれば、15歳という年頃な年齢でもあり、
家族を同時に失い、自分も、機械に繋がれたままでしか生きられない。

そんな状態の己と、他の人を比べてしまったのではないか、
周りの人間を羨んで、憎んでしまったのではないか、

そう言った。



〈だからね、この部屋には他の患者さん、
 入れないようにしてたんだよ....
 あの子には少しでも快適に過ごして欲しいからね..
 Aちゃんはこの病院の、
 おばちゃん達全員の、娘みたいなものなんだ〉




....アンタは孤独なんかじゃねぇ。


俺は看護婦の言葉を聞いて、心の中で呟いた。

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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎   
作品ジャンル:アニメ
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リヴ - ていさん» 私も銀魂の小説書いてます!ていさんほど上手くないですが、ぜひちらっと見ていただけたら嬉しいです!! (2021年1月5日 11時) (レス) id: 3a05cdac75 (このIDを非表示/違反報告)
てい(プロフ) - リヴさん» 勿体ない程のお褒めの言葉ありがとうございます(TT)完結まで暖かく見守ってくださると嬉しいです!! (2021年1月5日 11時) (レス) id: 51fbc336c0 (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - 語彙力が素晴らしいです!ていさんの作品色々読ませていただいたんですが、どれも面白くて…!尊敬してます!更新頑張ってください! (2021年1月5日 10時) (レス) id: 3a05cdac75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てい | 作成日時:2020年12月20日 6時

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