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「...アンタ、Aって言ったな
 俺のことも苗字じゃなくていい」


俺がふと、ガラにもなくそんなことを言うと、
Aは一瞬、目を大きく見開いた。


『....じゃあ十四郎さん、
 私も一つ聞きたいことがあります』


「..何だ」


『..普段は、どんな暮らしを....
 どんな人生を送っているんですか?』


「...どんだけ膨大で抽象的な質問だよ」

俺は鼻で笑いながらツッコんだ後、
Aに話し始める。


職業、仕事の内容、生活を共にする仲間の話...


主に真選組での話をするしか無ぇんだが...


俺が話している間のAは、
言葉一つ一つに相槌を打って、真剣な顔で聞いていた。




「....とまぁ、俺の今の生活はそんな感じだ
 こんな話聞いて、アンタ楽し________
 っ..おい...!どうしたんだよ...」


ざっくり話し終え、ふと横のAを見ると、
両目からポロポロと、大粒の涙を流している。


『っ..あれ、私..っ....
 何でこんなに..っ...泣いてんだろ...』

袖で目を思い切りこするA。


「よっ..よく分かんねぇけどもう今日は寝ろ..!
 いきなり知らねぇ男が来て疲れてんだよ...!」


俺も、突然泣き出したAにテンパってしまい、
よく分からない御託を並べ、
Aの肩を持ってベッドに寝かせた。



『...っ...ひっ..く....』


Aは俺に背中を向け、布団を頭まで被る。





はぁ....ますます訳が分からねぇ。

結局こいつのことは何も聞いていない。

いやむしろ、目の前で意味も分からず泣かれて、
あーだこーだ、もう聞けねぇだろ...



そんなことを頭でぐるぐる考えていると、
泣き疲れたのか、規則正しい寝息が聞こえてくる。



俺は、そっと布団を首元まで下げて、
Aの顔を覗き込んだ。


Aの頬にいくつも付いた、
涙の跡をそっと撫でる。



「....なーにを1人の女に振り回されてんだか」

俺はそう呟き、松葉杖を手に取って立ち上がった。


_______その瞬間、


『...んね』

Aが、寝言らしきものを言う。


『....ごめん、ね...
 生き、てて...ご、めんね...』


途切れ途切れで聞き取りづらかったが、
Aは確かにそう言った。



”生きててごめんね”と。

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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎   
作品ジャンル:アニメ
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リヴ - ていさん» 私も銀魂の小説書いてます!ていさんほど上手くないですが、ぜひちらっと見ていただけたら嬉しいです!! (2021年1月5日 11時) (レス) id: 3a05cdac75 (このIDを非表示/違反報告)
てい(プロフ) - リヴさん» 勿体ない程のお褒めの言葉ありがとうございます(TT)完結まで暖かく見守ってくださると嬉しいです!! (2021年1月5日 11時) (レス) id: 51fbc336c0 (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - 語彙力が素晴らしいです!ていさんの作品色々読ませていただいたんですが、どれも面白くて…!尊敬してます!更新頑張ってください! (2021年1月5日 10時) (レス) id: 3a05cdac75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てい | 作成日時:2020年12月20日 6時

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