悪魔に愛されるということ ページ3
翌日、私の身体は万全だから退院して良しとなったが、記憶喪失のせいで入院期間が延びた。
前の世界の事を話すと、夢だよ、とか別の病気を疑われて精神病棟に送られるところだった。
私は身体が楽になったので病院を見て回ることにした。暇だったのだ。
それにしても、大きな病院だ。
母、兄と名乗る人達は何だか高価そうな服装で来ていたが、そんな人達ばかりだな。ここは。
それに此処は東京というらしく、日本という島国の中心地らしい。
地名も歴史も私の世界とは全く別のものだった。そして、私は小学生の低学年だ。
前の世界では高校生だったのに。
だから口調と見た目のギャップでナースの人達にビビられる。
だから最近はふざけてお爺ちゃん口調で話している。
その方が皆んな笑ってくれるし、母に前の娘と口調が違うと泣かれるよりは私の気が持つ。
そうだ、飛び降りたら元の世界に戻れる?
私は患者の服装のまま、ウキウキと屋上までエレベーターで行ったが、その思いは絶たれた。
大きな大きなフェンスがあるわけで。
小学生の私にはよじ登れるとかそういうレベルじゃなかったから、諦めた。
そこから私はこの世界の異世界に行く方法などを調べに調べた。本で。
ナース達には変に思われるか?と不安になったが見た目が子供なだけにオカルトに興味を持ってもおかしくはなかった。
まずは魔法陣を描いたり、エレベーターに乗ってボタンを順番に押すというのだが、どれも失敗に終わった。
ナースにパソコンを貸して欲しいと頼むと、貸してはくれたものの安全フィルターとかが掛かってて話にならない。
病院の大きな庭でブーたれてた。
子供じゃないのに...って。
芝生の上に座り込んでアリの行列を見ていた、ボーッと。
「やぁ、君、此処で何をしているんだい?」
子供に話し仕掛けられた。
振り返ると私と同じ患者服を着た男の子が立っていた。
『アリの行列を見ていた』
「アリの行列?ふーん...」
背丈が同じという事は私と同じ年という事なのかもしれない。
「僕、天祥院英智って言うんだ。君は?」
『私は..』
どちらの名前で呼んで貰おうか。
〇〇...A。京極A
今だにAという名前に慣れない。慣れようとも思ってない所は、まぁある。
『月城千尋だ』
前の名前の方が反応しやすいのは当たり前。
「千尋ちゃんだね、覚えたよ」
『....』
私は覚える気などさらさらない。他人の名前など。
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作者名:どこぞの二次元オタク | 作成日時:2020年2月12日 9時