悪魔に愛されるということ ページ19
5月。
普通科や声楽科に入り浸って1ヶ月が過ぎた。
他の学科に入り浸っていたのはまた別の話。
アイドル科に足を踏み入れれば前回より酷い有り様だ。足跡のついた汚れた制服から巾着までゴミと一緒に落ちている。
いじめか...
制服を拾い上げてネームタグを見ると青葉つむぎと書かれていた。
そして近くの巾着も拾ってネームタグを見ると守沢としか書かれていなかった。
巾着の中を見るとどうやら体操靴のようなものが。
『.........』
私は拾ったホコリだらけの制服をパッと手で叩いて綺麗にし片腕に掛けた。巾着も片腕に引っかける。
スマホを取り出し、執事の高橋に電話。
『もしもし、今から夢ノ咲に来てくれ。クリーニングしてもらいたいものが沢山ある。異論は認めない』
スマホをポケットに戻して校舎を早歩きしながら周った。落ちている制服や体操着を拾い上げて片腕に掛ける。
「なぁアイツゴミ拾ってるぜ。ホームレスか？ww」
「女みてぇに髪伸ばしてるし、そうじゃね？」
無心になって授業が終わるまでに校舎の半分を周った。高橋は車でくるからまだ夢ノ咲には来れないだろう、そう思っていた。
スマホに高橋から着信が。
「もしもし、お嬢様。校門前につきましたよ」
早いな...そう思いながら校門前を窓から見やると、半裸姿の自転車に乗った高橋がいた。
情報量は多いが、取り敢えず校門前向かうことにする。
下駄箱で靴を履き替えていると声をかけられた。
「そこの君！君の持っているその巾着、俺のなんだ。見つけてくれたんだな！感謝するぞ☆」
『ほう...どの巾着だ？』
少年が指さした巾着を見ると、守沢と書かれていた。
『守沢というのだな、いじめられているのか』
靴を足にフィットさせて校門に向かって歩き出した。
「えっちょっとまっ...」
『ふふ、こっちにおいで』
少年は困ったように私の後を追う。
『で、いじめられているのか？』
「君の目にはそう見えるのかもしれないが、そんなことないぞ。皆んながちょっと俺をからかうぐらいで」
『からかいの範囲内に見えない』
「ぐっ...そうだな。だが俺が空気を読めないせいで皆が怒っていてそういう行動に出る。ただ、それだけなんだ」『つまり、いじめか』
少年は苦笑して取り敢えず返してくれないかと言った。『それは無理な話だな』
「なぜ...ってなんだ！？あいつは！？」
守沢が震えながら指さしたのは高橋。
高橋「お嬢様、ご洗濯物をこちらに」
守沢「うわ喋った！！」
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作者名：どこぞの二次元オタク | 作成日時：2020年2月12日 9時
