番外編 72日 " ページ23
これは双子が生まれた日のお話。
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Aがあの世へと旅立ってから一年くらい後にこんな話をしてくれたんだ。
それはAと俺が産まれた時の話だった。
母さんは幸せそうな顔をしている。
「あのね、夕陽が生まれる時頭が中々出てこなかったのよ…
Aはすんなりと出てくれたんだけどね」
思い出しているのか懐かしい目をしている。
「そしてAが生まれて…そう、2時間くらい後に夕陽が生まれたのよ…
確か夕暮れ時だったわね」
俺はそれで夕陽なのか…と思った。
だけど少し違っていた。
「だけど生まれた後泣いてくれなくて…
そんな時、Aが泣き出したのよ…まるで夕陽に泣き方を教えてるみたいに突然…」
そして母さんは隣のAの写真を手に取った。
「その時泣いてくれたの…
だけどその時夕日が眩しかったのよ、それで泣いたのかAの声で泣いたのか…」
そう、それで夕陽なんだ。
この俺の名前は母さんが付けたんだ。
Aの名前は父さんが小さい頃から子供に付けたかった名前を付けたらしい。
最初、夕陽…じゃなくて夕日にしようと思ったらしいけど。
「A…か」
俺はふいに兄さんの名前を呟く。
「二人とも…いい子に育ったわね、ええ…私達からしたら二人とも太陽よ」
そんな事を俺の頭を撫でながら言った。
その日は二人して泣いた。
涙が枯れ果てるまで…
ーENDー
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明月浅葱(プロフ) - めっちゃ泣きました! 俺、病系好きなんであまり泣かないんですが、こんなに泣いたの初めてです! (2022年11月13日 16時) (レス) @page30 id: 2a22133648 (このIDを非表示/違反報告)
金木犀 - 目が晴れそうなほど泣いてしまいました。素敵なお話を完結させてくださりありがとうございます! (2021年12月21日 0時) (レス) @page30 id: b5d4ecbe80 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 涙が止まらない位感動しました。 (2016年9月18日 14時) (レス) id: a56b4ade72 (このIDを非表示/違反報告)
桃崎星(プロフ) - 涙が止まらん (2016年2月22日 22時) (レス) id: 308057f239 (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃぅぇぉ。 - 久しぶりに小説で泣きました…。それはもうボロボロと(笑 とても素敵なお話でした! (2015年9月9日 14時) (レス) id: 76adb82bc6 (このIDを非表示/違反報告)
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