入ったら出られなくなる恐怖の宿〜小説版〜

廃墟の宿 Part25 ページ25

そこに入ると、埃っぽくて鉄臭くて…。
薄暗い場所だった。

「ね、ねぇ…薄暗い所だね」

私は身震いした。
するとセトが背中をぽんぽんと叩くと、探索し始めた。

「おい、セト。気をつけろよ？」

シンタローが私の近くに来た。
セトは笑いながら言った。

「わかってるっすよ、Aを守ってくださいっす」

セトは男前に、そこにあった埃まみれの棚などを開けた。
すると、クローゼットから泣き声が聞こえた。

よく見ると、泣いているキドだった。
服などはボロボロで、窶れていた。

私達は目を見開き、驚いた。

「き、ど？キド!?私、もう食べられちゃったのかとっ…」

そういうと、キドが数年間の話をし始めた。

「俺っ…化け物と出くわして。そしたら、カノが助けてくれて…能力でっ」

そう言うと、顔を覆い泣いた。
でも、キドだけでも生きてくれてよかったとホッと胸をなでおろした。

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