エース ページ17
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すばる君の言うヨコ…横山裕は、
うちの高校の近所にある、別の高校に通っている。
私たちの一個上の三年生。
で、すばる君と私と同じ中学出身。
すばる君と裕君は幼馴染らしかったけど、
私は二人とはそれぞれ違う場所で出会った。
すばる君はクラスメイトとして。
裕君は、部活の先輩として。
私が入ったバスケ部で、男バスのエースやった。
男子と女子で分かれてるとはいえ、
同じバスケ部として割と親交があった。
そんな中で、初恋として好きになったのが、
裕君…いやその時は横山先輩やったけど。
すばる君の幼馴染だってことも知って、
その繋がりもあって距離も良い感じに近づいて、
そして私が二年に上がったら、
向こうから告白された。
そんな嬉しいことないやん。
初恋をした相手に、
しかもモテモテやった先輩から。
…でも、しばらくして、色々あって彼とは別れて、
私だけがその想いを引きずっていた。
完全に吹っ切れるなんてことは訪れなくて、
そのまま月日だけが経っていって、
時間が解決する、その意味がなんとなく分かった。
ただぼんやりと傷が治っていくのを、
徐々に感じなくなっていく痛みを。
彼が中学を卒業した後、
二度と顔を合わせることもなくなって、
そうしたら忘れられた気がした。
すばる君伝いに裕君が入った高校も知ってたから、
そこだけは避けて高校を選んだ。
まぁ、そしたらすばる君と一緒になったんやけど。
…あの時裕君と付き合ってたことを知ってるのは、
私たちの他にはきっとすばる君だけ。
だから、多分この高校にいる人は
誰も知らないと思う。
ていうか、私だって知らなかったようなもんだ。
…まさか、数年越しにまた会った途端に、
何もかも思い出して、
全く忘れられていなかったことなんて。
そして、あの花火の後、
「…裕君、」
横「あ、A」
呼び出してごめんな?と優しく微笑む彼の
横「…なぁ、やっぱり、まだAのこと好き」
「…」
横「勝手なのも分かってるけど、
…もう一回、付き合ってほしい」
そんな簡単な申し出に、
あっさり頷ける自分がいたなんて。
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作者名:黒葡萄 | 作成日時:2020年2月7日 16時