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照れ隠し (緑) ページ37

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大「それにしても久々に来たわぁ」



「え?…あ、そうだ、二回目…!」



大「ふふ、笑」






大学から出て駅に向かう道を歩きながら、私は思い出した。



…二年ぐらい前、ベロッベロに酔っ払った状態の忠義君が

突然大学に現れたこと。



そして、バンドに戻らせて、ってお願いしてきたこと。






大「あの時の俺やばかったよなぁ」



「自覚あるんですね」



大「流石にな、笑

でもあの勢いで行っといて良かったわ」






軽く笑いながら、そんなことを。



…あの時は、色々と大変だったな。






大「…俺さ、Aちゃんに二回怒られてんの、

覚えてる?」



「…はい、思い出せば」






ちょっぴり苦笑いすると、忠義君は優しく微笑んだ。






大「俺めっちゃ覚えてんねん。

多分Aちゃんに叱られたってショックと、

その言われた内容で」



「…」



大「…一回目は、ヤスと亮ちゃんと一緒に

バンド戻ろうって言われた時。

俺がしょうもない理由で断ったら、

Aちゃんが "先輩のばか!" 言うて」



「…お恥ずかしいです…」






そこまではっきりとは覚えてなかったからつい俯くと、

忠義君は「ううん」って静かに首を横に振って。






大「衝撃やってん、

もうだらだら惰性で生きてんのも当たり前になって、

何言われても開き直って全然響かんかったのに…

その一撃だけは、見事に食らったわ」



「…そうだったんですね、」



大「…"もう、ドラムは好きじゃなくなったんですか"って

泣きそうな顔で言うて。それが…」



「それが…?」



大「…むっちゃ可愛かった。」



「は?」






思わず眉間に皺を寄せて顔を上げると、

いや、ほんまに。って渋い顔して一人で頷いてる。



…本当に響いてたんでしょうか。



でも忠義君はまた少し真面目なトーンに戻って、






大「表向きは全然効いてないような態度取ってたけど、

内心すっごい刺さっててん」



「…」



大「それから、急激に高校の時の自分を思い出すようになって。

振り返らんようにしてたのに、

どんどん戻りたい気持ちが強くなって…」






…でも、と続ける。






大「勇気が出なくて。

何か言い訳が無いと、言い出されへんかった。

だからああやって勢いで行動してもうたけど…」






それも、しっかり見抜かれてたな、って笑った。



…その時、また私が怒ったんだ。



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作者名:黒葡萄 | 作成日時:2022年5月5日 8時

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