【あんスタ】大きなサーカスの玉乗りピエロ (ページ15)

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62話　優勝者2 ページ15

「おい、A、元気出せよ」
晃牙が小声で話しかけてくる。

「そうじゃよ、我輩らが丹精込めて手伝ったんじゃから。我輩、太陽の前に出て、もうふらふら……」

零は額をさすりながら英智を見ている。

「けっかはっぴょー！！」

「優勝者は……」

ぐっと両手を握りしめる。
ちらりと見えた英智の微笑んだ顔。

「Aちゃんです！」
英智はにっこりと笑って私のケーキをゆっくり持ち上げた。

「へ…………？」
背後のみんなから喜ぶ声が聞こえる。

隣の凛月からは

「まぁ、運が良ければ凛月ちゃんになるかなぁ程度だったものね。一番Aちゃんがなるんだろうなぁとは思ってたわ」
「ナッちゃんひどい～寝返った～」

「うん！確かにリッツのつくるケーキは味がおいしいけど見た目は最悪だ！」
「え～！王様まで～。酷いなぁーもう……ねぇ、スーちゃんは？」

「私も同感です」
「ひどい！仲間でしょ～？」

「よかったですね、名前を平仮名で～♪みごと『ゆうしょう』ですよ～」

「Aちゃんのケーキを選んだ決め手としては、「味がおいしい」「材料のコスパや見た目的にも食堂で作りやすい」というのがポイントが高かったところかな。」

「正直言って味は凛月くん？のがよかったんだけどねぇ、見た目がとてもじゃないけど食堂で作れないから」

「優勝したAのケーキは～、食堂のデザートとしてこれを出しとく！で、毎週金曜はどの食べ物にもこのケーキがついてくる！で、どう？」

「……あり、がとう！」
練習してきた成果なのかな、今思うとわりとくだらない事に涙でてきちゃった。

いや、くだらなくなんかないか。
皆が手伝ってくれた、そのおかげで今、こうして優勝できた。

正直一人で作ってるときは、メレンゲを泡立てる時間が長引いてタイムロスしてた。
つまり、メレンゲを泡立てる時間が長くて、デコレーションしている時に間に合わなかった。

他にも生クリームの泡立て・オーブンの予熱・チョコの湯煎とかは、みんなが手伝ってくれた。

「んー♪やっぱりAちゃん先輩が作ったケーキは想像以上にとーってもおいしいです！宙はいまもの凄く幸せな～♥」

手伝ってくれたみんなもパクパクケーキを食べる。
今美味しそうに食べてくれるみんなの意見を含めたケーキ。

自分も一口パクリと食べると、家で練習したものよりもとてもおいしかった。

「……ねぇ、私が一人で作ったのよりも物凄く美味しいよ。きっと皆のおかげ」