五男の見識3 ページ29
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「────ね、Aちゃんは、前に僕のこと好きって言ってくれたけど」
Aちゃんの肩に顔を埋めながらそう言えば、
Aちゃんは相槌を打ちつつ、擽ったいよと腕の中で身じろいだ。
ああ、やっぱりそうだ。
今、僕とAちゃんは一松兄さんと同じ位近いのに、全然顔が赤くない。
何でなんだろう。
「……Aちゃんは、僕以外の兄弟にも同じ様に、楽しい好き、なの?」
「……んー……?……ああ、えーと、」
煮え切らない返答。
んん、わかんない。どういうことだろう。
Aちゃんは僕に対する好き、だけ楽しい好きなんだろうか。
「……なんていうか、えーとね、楽しい好きだったんだけど、」
「……んん?」
「もう楽しい好きじゃ、相手に失礼だから」
「…………えっ、」
────Aちゃんは気付いてたんだ。
兄さん達がAちゃんのこと好きだって。
それで、兄さん達がAちゃんに苦しい好きをしてるのに、
自分が楽しい好きのままじゃ駄目だって、失礼だって思ったんだ。
苦しい好きは、恋だってAちゃんが言ってた。
ってことは、Aちゃんは兄さん達をお友達じゃなくて男として見る事にしたってことだ。
ええっと、ええっと、それってつまり。
「……つまり僕は男じゃない?」
「十四松さんちょっと結論ぶっ飛びすぎじゃない?安心しろお前は男だ」
あれれ、わかんなくなってきた。
つまり、僕だけが楽しい好きだとどうなるんだろう。
こうやって抱きしめて貰えるのは
僕がAちゃんにとって楽しい好き、だから。
だから、これは僕だけの特別だ。
なんだっけ、トッケン、ってやつだ。
でも。
もし僕とAちゃんがこのままだったら。ずっと楽しい好きのままだったら。
おそ松兄さんみたいにでーと、は出来ない。
一松兄さんみたいに、Aちゃんは真っ赤な顔はしない。
ちゅーは……僕が相手だったら出来るのかも、しれないけど。
でも、それは一松兄さんのとは違う。
僕がやったってそれは楽しい好きだから。苦しい好きじゃないから。恋じゃないから。
あれ、おかしいな。
なんでこんな悩んでるんだろう。
Aちゃんに抱きしめられて嬉しい、あったかい、安心する。好き。
それだけだった筈なのに。
分からない、なんだろう、もやもやする。
そんな考えを振り払うように、僕はAちゃんの肩にぐりぐりと頭を押し付けた。
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ももち@ - サクラさん» 有難う御座います…!進学してから中々更新できる機会がなかったのですが漸く更新出来ました…!これからまた更新させて頂こうと思います、よろしくお願いします! (2018年5月5日 19時) (レス) id: 2acfca4f19 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 更新楽しみに待ってますので戻って来てください! (2018年4月24日 23時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
ももち@ - レミリアさん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません;;たった今更新させて頂きました!お褒めの言葉も有難う御座います、これからも更新頑張らせて頂きますね! (2018年2月1日 23時) (レス) id: dc32f552dc (このIDを非表示/違反報告)
ももち@ - ダメ天使さん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません;;そう言ってもらえて嬉しいです!たった今更新させて頂きました!これからもダメ天使さんはじめ読者の皆様に喜んで頂けるよう頑張りますね! (2018年2月1日 23時) (レス) id: dc32f552dc (このIDを非表示/違反報告)
レミリア(プロフ) - このお話とても面白いですね!更新待ってます! (2018年1月18日 22時) (レス) id: 8e9961abf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももち | 作者ホームページ:ありません(´・ω・`)ショボーン
作成日時:2016年3月28日 14時