Assortment of sweets (ページ17)

今日:25 hit、昨日:43 hit、合計:87,046 hit

スーツのあの人 K.Kawanishi_04 ページ17

『ちゃんと伝えさせてもらうわ

Aちゃんのことが

好きやねん__』

そんな風に伝えてくれたあなたの気持ちに応えたい___。

------

---

--

-

「よし、2回目公演も終わったー！」

公演を無事に終えたことにホッとすると同時になってしまった、お腹の音。

「おいおい、随分正直なお腹だな、笑」

「ホッとしたらお腹空いちゃった、笑」

同じスタッフをやっている同期の健太くんにそう言って笑われた。
裏方の仕事は大変なことも多いがやっぱり同期がいてくれるとお互いに助け合いができるのがいい。

「じゃあ、どっか食べに行かない？お昼」

「えっ、行こう！行こう！」

「最近オムライスが美味しいお店見つけたんだけどどう？」

「行く！」

勢いよく手を上げて健太くんの声に応じる。

「それで、川西さんに返事したの？」

「あーそれがねー....」

あの後....

「えっと、その....」

「おーい、Aー！どこだー！」

川西さんの気持ちに応えようと思った時にタイミングよく先輩が自分を呼ぶ声がした。

「あっ、えっと」

『行ってきた方がええんちゃう？』

オロオロしている私を見て川西さんは笑顔で優しく笑った。

「ごめんなさい...！絶対に必ずお返事させていただくので..！」

『ええよええよ、こっちこそ仕事中にごめんな、笑』

せっかくの好きな人からの告白に応えることができないまま、私は先輩の元に向かった__。

それから私は自分が受け持つ案件に追われて忙しくなり
川西さんとすれ違うことはあってもゆっくりお話をすることはできなかった。

------

---

--

-

「マジか...」

「さすがにまずいよねー...」

川西さんだって勇気を持って告白してくれたはずなのにずるずると返事を引き延ばしにしてしまっている。
本当に自分のタイミングと運の悪さに嫌気がさす。

「はあー...」

せっかく健太くんが教えてくれたお店のオムライスは美味しいはずなのにいまいち味がしない。

このまま呆れられてやっぱりあの告白はなしで、なんて言われたら生きていける気がしない。
ネガティブなことしか考えられずつい俯いてしまう。

「でもまあ両思いなんだからさ、頑張れよ！」

そう言ってふわとろオムライスを食べる健太くん。
そうやってポジティブに物事を考えれるのが羨ましい。

「....そうだね、頑張る！」

そうだ、まだダメだって決まったわけじゃない__。

そう気合を入れて私も残りのオムライスをかきこんだ。