1から始める ページ8
「国木田さん、Aちゃんが目を覚ましましたッ」
スイッチを入れられたように不意に目を覚ますと谷崎君が国木田さんを呼んでいた。ぐるりと目を動かして周りを見ると、いつものメンバーが私を中心に囲んでいた。勿論乱歩さんと治はいない。多分、社長はお出かけ。
でも私は、何故此処に居るのか。さっきまで廊下にいたのに。
「あ…」
訊こうにも起きたばかりの喉は機能せず、掠れた声が出るだけ。それでも何を言いたいのかわかったのか敦君が答えてくれた。
「吃驚しましたよ。僕達とあった途端倒れたんですから」
「う…」
…そうか。それで医務室のベットね。あんな事をした私をよく中に入れたものだ。
「で、A。ちゃンと話しあおうか。乱歩さんに謝ったのかい？」
晶ちゃんが腰に手をあてて問う。
「……謝れないよ。だって、あんな事したんだし。会う価値が私にない」
ふい、とみんなから顔を逸らす。布団を頭まで被れば毛布越しに呆れたような声が聞こえた。
「あのな、乱歩さんがどういう思いでAに太宰との事を聞いたか知ってるか？」
「…。」
黙る私に対し国木田さんは言葉を紡ぐ。
「…ふぅ。乱歩さんはな、お前の相談に乗るつもりで聞いたんだ。賢治に何度も首を突っ込むべきかどうか話していたらしい。そうだろう、賢治」
＿え？
「はいっ‼」
待って。だって私は、あの時乱歩さんに…
�猴霾發気鵑覆鵑董�嫌い！��
嗚呼、乱歩さんは馬鹿にしたい訳でも気まぐれでもなく、社員として、仲間として乱歩さんなりに考えて私の相談に乗ろうとして。なのに私は、その思いをぶち壊した。
「…っ‼」
悲しみが頬を伝う。それを察したかのように晶ちゃんは再度問うた。
「乱歩さんに謝らなくていいのかい？」
＿でも、
震える声で、私は言う。
「遅いよ。失ったものは戻らないの」
「そうさ。だけど、1から始めることはできる」
＿じゃあ、私は失ったものは戻らないと諦めて…
＿逃げてたってこと？
始めることを放棄してた。話し合うのを恐れた。相手がどう思っているのか、考えなかった。
「……私に、できるの？資格は、あるの？」
「資格とかの問題じゃないですわ。白雪さんがどうしたいか、が重要よ」
力強いナオっちの声が、心に響く。年下に諭されてしまった。
「そ、うね。私は＿＿謝って、1から始めたい」
布団越しに聞く暖かな賛同の声に、私は嗚咽しながら蚊の鳴くような声でありがとうと呟いた。
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シモナ(プロフ) - 太宰が好きさん» ありがとうございます！これからもこの作品と作者をよろしくお願いします！ (2017年1月28日 11時) (
レス) id: 9daf4d1881 (このIDを非表示/違反報告)
シモナ(プロフ) - 蝉さん» ありがとうございます！更新、頑張ります！ (2017年1月28日 11時) (レス) id: 9daf4d1881 (このIDを非表示/違反報告)
太宰が好き(プロフ) - あぁ､､､私がはまるタイプだぁ､､､お気に入り作者いれます！ (2017年1月28日 2時) (レス) id: 9272b634b0 (このIDを非表示/違反報告)
蝉 - 素敵です！！！更新楽しみにしてます！！！ (2017年1月27日 20時) (レス) id: ef91e4f100 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シモナ | 作成日時：2017年1月27日 18時
